ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その20)
2020年02月27日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の20回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(ⅩⅨ)
~職場のメンタルヘルス不調の背景因子(職場の心療内科的健康不調の背景因子)⑨~
◎勤労者のメンタルヘルス評価法(勤労者の心療内科的健康評価法)ⓒ
A.メンタルヘルス評価対象(心療内科的健康評価対象)(ⅲ)
4.職業性ストレス因子(ストレス要因)
⇒職場には、数多くのストレス要因が存在します。勤労者がどのような仕事上のストレス要因を自覚しているかについて、勤労者が仕事や職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じているメンタルヘルス事柄(心療内科的健康事柄)など勤労者メンタルヘルス状況調査(勤労者心療内科的健康状況調査)(厚生労働省)のメンタルヘルス結果(心療内科的健康結果)によれば、メンタルヘルス調査対象者(心療内科的健康調査対象者)が自覚している割合が高いストレス要因が、必ずしもメンタルヘルス障害と関連が深い(心療内科的健康障害と関連が深い)とは限らないことにも注意したいです。
複数のストレス要因を組み合わせて、ストレスの強さとそのメンタルヘルスリスク(心療内科的健康リスク)をメンタルヘルス評価するモデル(心療内科的健康評価するモデル)が開発されています。「仕事の要求度-コントロールモデル」は、仕事の要求度(仕事の量、スピード、複雑さなど)が大きく、コントロール度(仕事上の裁量権や自由度など)が小さい場合に、ストレスが高まり、メンタルヘルスが脅かされやすい(心療内科的健康が脅かされやすい)としています。
■職場不適応症(適応障害)など軽度メンタルヘルス不調について(軽度心療内科的健康不調について)
⇒職場のさまざまなストレス、例えば過重な業務ストレス(仕事の質・量の問題)、仕事の適性、人間関係のメンタルヘルス問題(心療内科的健康問題)などに対してうまくメンタルヘルス対応(心療内科的健康対応)できず、うつ病などのメンタルヘルス疾患(心療内科的健康疾患)や心身症などの健康障害(メンタルヘルス障害(心療内科的健康障害))を起こしてメンタルヘルス科治療(心療内科治療)が必要になったメンタルヘルス事例(必要になった心療内科的健康事例)を職場不適応症(適応障害)など軽度メンタルヘルス不調(軽度心療内科的健康不調)と呼んでいます。職場不適応症(適応障害)など軽度メンタルヘルス不調は、個人の能力や性格(軽度心療内科的健康不調は、個人の能力や性格)、行動様式などの個人的メンタルヘルス要因(個人的心療内科的健康要因)と、業務の特性、業務遂行上のメンタルヘルス問題(業務遂行上の心療内科的健康問題)や人間関係などの職場メンタルヘルス要因(職場心療内科的健康要因)との不適合(ミスマッチ)によって生じます。メンタルヘルス科臨床診断名(心療内科臨床診断名)は大部分がうつ病などのメンタルヘルス疾患によるもの(心療内科的健康疾患によるもの)、神経症、自律神経失調症などであるが、一部に過敏性腸症候群などの心身症を単独で、あるいは合併症としてもっているメンタルヘルス事例(合併症としてもっている心療内科的健康事例)があります。
メンタルクリニック(心療内科クリニック)などメンタルヘルス科外来(心療内科外来)を受診した職場不適応症(適応障害)など軽度メンタルヘルス不調60名(軽度心療内科的健康不調60名)(20歳代~50歳代)について、その原因など職場不適応症(適応障害)による軽度メンタルヘルス不調の年代別(軽度心療内科的健康不調の年代別)にみたストレッサーの内容を調べてみると、年代ごとにいくつかのメンタルヘルス的な特徴(心療内科的健康的な特徴)がみられます。
20歳代の入社初期における勤労者では、自分の仕事に対する就職前のイメージと現実の仕事とのギャップ、共同作業への不慣れなど、新しい仕事や職場環境への不適応がみられます。過重労働による燃え尽き症候群などのメンタルヘルス状態(心療内科的健康状態)は20、30歳代に多いです。40、50歳代では中間管理職としての職務遂行に伴うメンタルヘルス問題(中間管理職としての職務遂行に伴う心療内科的健康問題)や、上司、部下間の人間関係での葛藤、新しい人事メンタルヘルス評価制度(心療内科的健康評価制度)の導入、リストラに伴う出向・転籍などによる仕事内容や職場環境の激変などが、「人-職場間不適合」を引き起こし、うつ状態など職場でのメンタルヘルス不調(職場での心療内科的健康不調)、うつ病など職場でのメンタルヘルス疾患(職場での心療内科的健康疾患)、神経症の原因となっていることが多いです。
これら職場不適応症(適応障害)などの軽度メンタルヘルス不調での初期のサイン(軽度心療内科的健康不調での初期のサイン)は、「不眠」、「倦怠感」、「集中力の低下」、「(仕事に伴う)悩み、心配事が頭から離れなくなる」など、軽症うつ病のようなメンタルヘルス不調にみられる場合(心療内科的健康不調にみられる場合)のメンタルヘルス症状(心療内科的健康症状)が多いです。軽症うつ病などのメンタルヘルス不調の発症の契機(心療内科的健康不調の発症の契機)は就職、配置転換、昇進、出向、人間関係のメンタルヘルス問題(人間関係の心療内科的健康問題)などで、これらの変化が生じてから早い人で1ヵ月後、多くは3~6ヵ月後、遅い人では約1年経ってからでもメンタルヘルス不調が発症(心療内科的健康不調が発症)します。
5.緩衝メンタルヘルス要因(緩衝心療内科的健康要因)
⇒同じストレス因子が存在しても、緩衝メンタルヘルス要因に恵まれているか(緩衝心療内科的健康要因に恵まれているか)どうかで、ストレス反応およびストレスによる健康障害(メンタルヘルス障害)のリスクは大きく異なって((心療内科的健康障害)のリスクは大きく異なって)きます。
おもな緩衝メンタルヘルス要因(おもな緩衝心療内科的健康要因)としては、社会的メンタルヘルス支援(social support)(社会的心療内科的健康支援(social support))が挙げられます。社会的メンタルヘルス支援(社会的心療内科的健康支援)には、物質面、メンタルヘルス情報(心療内科的健康情報)面、メンタルヘルス面(心療内科的健康面)など、親族や職場関係者からのさまざまなメンタルヘルス支援(心療内科的健康支援)が含まれます。上述した仕事の要求度-コントロールモデルに、社会的メンタルヘルス支援の軸(社会的心療内科的健康支援の軸)を加えたモデル(仕事の要求度が高く、コントロール度が低く、社会的メンタルヘルス支援が少ない場合(社会的心療内科的健康支援が少ない場合)に、高ストレスとなりメンタルヘルスが損なわれるリスクが高まる(心療内科的健康が損なわれるリスクが高まる))もよく知られています。
なお、NIOSH(National Institute for Occupational Safety and Health)職業性ストレスモデルとは、職業性ストレッサーとそれによって生じるストレス反応から健康障害(メンタルヘルス障害)(健康障害(心療内科的健康障害))へ至る左から右への流れ、およびストレス反応の強さに影響を及ぼす個人的メンタルヘルス要因(及ぼす個人的心療内科的健康要因)、仕事以外のメンタルヘルス要因(心療内科的健康要因)、ストレス反応を軽減する上司や同僚、家族・友人からの社会的メンタルヘルス支援などの関係(社会的心療内科的健康支援などの関係)を示しています。このモデルにおける個人メンタルヘルス要因(このモデルにおける個人心療内科的健康要因)には、遺伝的メンタルヘルス素因(遺伝的心療内科的健康素因)、性格傾向などが含まれ、ストレス性の健康障害(メンタルヘルス障害)の防止((心療内科的健康障害)の防止)には、この個人メンタルヘルス要因の一部への働きかけ(個人心療内科的健康要因の一部への働きかけ)が有効である場合が少なくないです。しかし、産業保健スタッフなどメンタルヘルススタッフ(心療内科的健康スタッフ)の取り組みとしては、それよりも職業性ストレス要因のメンタルヘルス評価(心療内科的健康評価)と軽減、職場における社会的メンタルヘルス支援の強化(社会的心療内科的健康支援の強化)に関する取り組みをまず優先すべきでしょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。