適応障害 | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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適応障害について

適応障害とは?

日常生活において、誰しもストレスに直面しえます。家庭では、夫婦の不和や教育、職場では過重労働、転勤、退職などです。そしてこれらのストレスにうまく適応できなくなると、しばしば身体的、精神的な症状が出ます。たいていの場合は一定範囲内にとどまり短期間でおさまりますが、時と場合によっては予想以上に大きくなり「病的な」レベルに達することもあります。すると仕事や学業、家庭生活に悪影響が及びます。
このような生活のストレスに起因する過剰反応を適応障害といいます。健康な状態と病気の状態の境目に生じる症状ともいえます。
適応障害の症状は3つに分けられます。精神症状、身体症状、社会的問題行動です。
精神症状として代表的なものは、抑うつ症状と不安症状です。頭痛や肩こりといった不定愁訴、さらに不眠などの身体症状が出現することも多いです。問題行動がみられる場合もあります。遅刻欠勤のような目立たないものもあれば、ギャンブルや酒による乱費、さらには離婚といった大問題に至ることもあります。まれに自殺念慮を示すこともありますが、これは多くの場合、専門的治療を要するレベルです。
適応障害は生理的反応ともいえます。よって医学的に鑑別できる検査はないです。とはいえ、身体症状に関しては検査が必要となることがあります。胃痛や倦怠感などに対する医学的所見がみつかるケースがあり、その場合は心身症として身体疾患の治療を並行しなければならないからです。心身症を合併しているケースの多くは精神症状も重い。よって、精神科と共同診療を行う場合が多いです。

診断

適応障害の診断は、除外診断であるという点でほかの精神疾患と趣が異なります。 日常的範囲のストレス症状が出た後、1~3か月という比較的短期間で、精神症状(うつ、不安、イライラ、焦燥、怒り、混乱)、身体症状(不定愁訴、睡眠障害、食欲低下、易疲労感、倦怠感、痛み、下痢)、問題行動(遅刻、欠勤、飲酒、夫婦不和、乱費、ギャンブル、自傷行為)などが顕著に出現します。そしてその結果、学業や仕事などの社会的機能が障害されます。精神疾患やストレス関連障害に該当する場合は当該疾患であるとします。そして生死にかかわるような強大なストレスがある場合もPTSDなどほかの疾患に分類されます。残ったものが適応障害となります。
すなわち適応障害とは、日常的ストレスと因果関係がはっきりしており、精神疾患や定型的なストレス関連障害の素因がなく、比較的軽度な症状にとどまるものをいいます。

治療法

ストレスの原因を突き止めたうえで、負荷軽減のための環境調整を現実的な範囲で行います。これが治療となります。入院に至ることはまれです。
環境調整つまりコーピングには、ストレスを自認・開示(家族や上司など周囲に伝える)、負荷経減(問題の先送り、仕事の軽減など)、体調管理(食事(バランス良、腹八分目)、休養・睡眠、健康チェック)、気分転換(元来自分が楽しめることをする、愚痴をいう)のような方法があります。自らのストレスを認め、その状況を職場や家族に率直に明かします。そしてバランスのよい食事をとり、ぐっすり眠る。ストレスに真正面から取り組むよりは、気分転換したほうがよいケースが多いです。負担のない趣味を続けたり、利害関係のない友人に愚痴を開いてもらうだけでも効果があります。主治医が聞き役になることも適切な治療といえます。

(1)認知行動療法

認知行動療法とは、認知の歪みを正すことにより患者の行動を変容させるというものです。 適応障害の治療においては、自分がストレスに暴露して症状が出ていることを正しく把握させ、当該場面における適切な対応法を学習・訓練させます。最終的には状況のセルフコントロールを目指します。

(2)薬物療法

適応障害において、薬物療法はあくまでも補助的役割でありますが、不眠症状がある場合は対症療法的に睡眠導入薬を処方します。また、重症化した際はSSRIや抗不安薬を出します。睡眠導入薬や抗不安薬は依存を形成することがあるため、処方は数か月にとどめ、改善しない場合は精神科を受診することが望ましいです。

経過と予後

ストレスに起因するだけに、そのストレスが消えると治癒することが多いです。また、仮にストレス状況が続いても、慣れによっておさまることもあります。このように、適応障害は予後がよいものです。一部、うつ病など他精神疾患に移るものもありますが、その場合は診断当初に遡って診断を変更すべきケースです。

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