身体表現性障害(その1)| 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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身体表現性障害について(その1)

身体表現性障害とは?

身体表現性障害とは、症状を説明できる器質的な異常所見に乏しく、心理的要因によって身体症状に影響が出ている種々の障害の総称です。「身体表現性障害」という用語は、1980年のDSM-Ⅲにおいて初めて使用されましたが、同様の疾患概念は古くから知られており、ヒステリ一、ブリケ症候群、心気症、心気神経症、醜形恐怖、神経衰弱、自律神経失調症、心因性疼痛などと呼ばれてきた疾患様の多くを含む概念と考えられます。

DSM–Ⅳ–TRには身体表現性障害に含まれる疾患に共通の特徴として、①一般身体疾患を示唆する身体症状が存在しますが、一般身体疾患、物質の直接的な作用、またはほかの精神疾患によっては完全に説明されない、②その症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、またはほかの領域における機能の障害を引き起こす、③身体症状は意図的でない、などがあげられています。

身体表現性障害は、DSM–Ⅳ-TRとICD-10では若干の差異を認めるものの、おおむね「身体化障害」、「心気症」(ICD-10 では「心気障害」)、「疼痛性障害」(ICD-10では「持続性身体表現性疼痛障害」)、「その他」に分類されます。

臨床所見

身体化障害は男性よりも女性にはるかに多く、通常成人早期に始まります。主要な病像は多発性で繰り返し起こり、しばしば変化する身体症状であり、適切な検索を行っても、既知の身体疾患や物質の直接的作用として十分に説明できない複数の身体症状が多年にわたって持続します。

心気症の本質的な病像は、1つあるいは少数の重篤で進行性の身体疾患に羅患している可能性への頑固なとらわれです。男性と女性どちらにも生じ、患者は執助に身体的愁訴を示します。


疼痛性障害においては、疼痛が臨床像の中心を占め、生活における機能障害を引き起こし、心理的要因が、疼痛の発症、重症度、悪化、あるいは持続に重要な役割を果たしていると判断されます。

前述のいずれの身体表現性障害においても、抑うつや不安がしばしば併存し、それらに対して特化した治療を要する場合があります。

検査所見

いずれの身体表現性障害においても、臨床検査の結果、主観的な愁訴を裏づける所見が欠如している点が特徴的です。しかし、たとえば心理的要因と一般身体疾患の両方に関連した疼痛性障害の場合には、適切な臨床検査によって疼痛と関連した病理が明らかとなることがあります(例:根性の腰痛のある患者様におけるMRIの腰椎椎間板ヘルニアの所見)。

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