児童虐待・親の問題(DVを含む)について(その1) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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児童虐待・親の問題(DVを含む)について

児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)について

児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)など、家庭内での心身への暴力が社会的関心を集めるようになってきたのは、比較的最近のことです。児童虐待に関しては、1990年代初頭に大阪や東京で設立されて各地に広まった民間団体の啓発により社会的認識が高まり、介入方法が進歩しました。1990年代半ばからは行改も積極的に関与するようになり、2000年には『児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)』が整備されました。DVに関しても同様の経過で、『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)』が施行されるに至りました。

しかし、家庭内の暴力に対する精神的なケアや治療はまだまだ未発達です。被虐待体験は精神障害への最も大きな危険因子であるといわれます。子どもを虐待から守り、安心できる環境のなかで子どもの健康な精神発達が保障されるように支援を行うことは社会の役割であり、医師の責任も重大です。

Ⅰ.児童虐待とは

児童虐待(以下虐待)とは、弱者である子どもと強者である年長者という権力構造を背景とした子どもへの重大な権利侵害を指します。虐待は一般に、①身体への暴力である身体的虐待、②子どもにとって必要なケア(衣・食・住・愛情・安全な環境・安全を守る監視・清潔・保健・医療・教育など)を与えないネグレクト、③子どもの発達段階に対して過度の性的かかわりをもつ性的虐待、④子どもに恐怖感・無力感・無価値観・罪悪感・心理的圧迫などを与えたり犯罪の強要などを行ったりする心理的虐待、⑤親同士の暴力にさらされるDVの目撃の5種類に分けられます。つまり、虐待には積極的な行為も、本来必要な行為をなさないことも含まれるのです。また、虐待とは子どもの心身の安全が脅かされるものであり、本来は親の行為を指すのではなく、子どもへの影響を中心に考えられるものです。同じ行為でも子どもの脆弱性によって、虐待と考えるかどうかは異なります。「虐待」(child abuse)という語のイメージが加害者の積極的行為に偏りすぎていることから、近年、精神保健の分野では「不適切な養育」(maltreatment)という言葉が使われています。

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