ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その18)
2020年02月22日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の18回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(ⅩⅦ)
~職場のメンタルヘルス不調の背景因子(職場の心療内科的健康不調の背景因子)⑦~
◎勤労者のメンタルヘルス評価法(勤労者の心療内科的健康評価法)ⓐ
A.メンタルヘルス評価対象(心療内科的健康評価対象)(ⅰ)
⇒メンタルヘルス対策(心療内科的健康対策)にとって、職場の現状把握はそのメンタルヘルス対策の第一歩(心療内科的健康対策の第一歩)といえます。現状とは、一つは勤労者、もう一つは勤労者を取り巻く職場(環境)のメンタルヘルス評価(心療内科的健康評価)です。メンタルヘルス対策として職場(心療内科的健康対策として職場)でメンタルヘルス評価を行う勤労者の現状(心療内科的健康評価を行う勤労者の現状)は、主として以下に示す5つ(①健康障害(メンタルヘルス障害(心療内科的健康障害))の有無、②メンタルヘルス不調の有無(心療内科的健康不調の有無)、③ストレス反応、④職業性ストレス因子(ストレス要因)、⑤緩衝メンタルヘルス要因(心療内科的健康要因))です。それらの関係は、「アメリカ国立安全衛生研究所(NIOSH)による職業性ストレスモデル」のようにまとめられます。
1.健康障害(メンタルヘルス障害)の有無(健康障害(心療内科的健康障害)の有無)
⇒現在、職場のメンタルヘルス(職場の心療内科的健康)でもっともメンタルヘルス問題(心療内科的健康問題)となっているのは、メンタルヘルス障害圏(心療内科的健康障害圏)(うつ病などメンタルヘルス疾患(心療内科的健康疾患)、躁うつ病などメンタルヘルス障害等(心療内科的健康障害等))の病態です。労働安全衛生法で規定されている長時間勤労者に対するメンタルヘルス科面接指導(心療内科的健康科面接指導)においても、うつ病などのメンタルヘルス疾患の有無(心療内科的健康疾患の有無)を確認することになっています。しかし、適応障害、不安障害、睡眠障害、統合失調症、発達障害、パーソナリティ障害、アルコール使用障害など、多くの勤労者に苦痛を与えたり、業務の遂行に強い悪影響をおよぼしたりするメンタルヘルス障害(業務の遂行に強い悪影響をおよぼしたりする心療内科的健康障害)はほかにも多く、産業保健スタッフなどメンタルヘルススタッフ(心療内科的健康スタッフ)はそれらのメンタルヘルス障害にも目を向ける必要(それらの心療内科的健康障害にも目を向ける必要)があります。
■職業(産業)性ストレスによる健康障害(メンタルヘルス障害)(健康障害(心療内科的健康障害))
⇒近年、塵肺や振動病などの単一の有害な職業上の原因によって引き起こされる職業病が減少する一方、さまざまな領域でのストレスの増加に伴うストレス病や高齢化、生活習慣の変化による生活習慣病も増加しています。これらの疾患のうち、発症や増悪に関連する多くのストレス因子のうちの1つに職業性ストレス因子が関係している疾患を作業関連疾患と呼んでおり、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、筋骨格系疾患、ストレス関連疾患(職場うつ病など職場のメンタルヘルス不調(職場の心療内科的健康不調)、消化性潰瘍など)等が含まれます。職業(産業)性ストレスによる心身の健康障害(メンタルヘルス障害)(心身の健康障害(心療内科的健康障害))に関する職場のメンタルヘルス報告(職場の心療内科的健康報告)は多数あるが、代表的なメンタルヘルス報告の一部のみを紹介(心療内科的健康報告の一部のみを紹介)します。
Karasekらは、仕事のストレスは仕事の要求度が高くて、かつ仕事の段取りなどに対する自由裁量権が少ないときに高く(高ストレス群)なり、このことは虚血性心疾患や抑うつ(気分が憂うつ)などのメンタルヘルス的健康障害の発症(心療内科的健康的健康障害の発症)とよく相関することをメンタルヘルス報告(心療内科的健康報告)しました。Johnsonらは、虚血性心疾患の症状出現や有病率が上司や同僚からの社会的メンタルヘルス支援(社会的心療内科的健康支援)が少なくて、かつ高ストレス群で高いことをメンタルヘルス報告(高いことを心療内科的健康報告)し、また縦断的メンタルヘルス研究(縦断的心療内科的健康研究)でも冠動脈疾患の発症率や死亡率が高いことをメンタルヘルス報告(死亡率が高いことを心療内科的健康報告)しています。
作業ストレスには、量的ストレスと作業の複雑さや困難性などの質的ストレスがあるが、長時間勤務がメンタルヘルス不調(心療内科的健康不調)や心疾患の危険ストレス因子になることや、量的ストレス・質的ストレスのいずれも職務不満足、自己メンタルヘルス評価(自己心療内科的健康評価)の低下や血圧、血清コレステロールの上昇、胃潰瘍、糖尿病、問題飲酒行動に関係することがメンタルヘルス報告(問題飲酒行動に関係することが心療内科的健康報告)されています。交代制勤務と夜勤は消化性潰瘍、心血管障害、死亡率と関連していることもメンタルヘルス報告(心血管障害、死亡率と関連していることも心療内科的健康報告)されています。役割ストレスも仕事の緊張感、職務不満足、高血圧や冠動脈疾患の発生に関係し、職場の人間関係でのストレスも心疾患の発症や高コレステロール血症の発生と関連することがメンタルヘルス報告(高コレステロール血症の発生と関連することが心療内科的健康報告)されています。
Grain&Brownは、職業(産業)性ストレスを含めた強い生活上の困難は過敏性腸症候群やfunctional dyspepsiaと関連し、タイムリミットに間に合わせるための努力や苛立ちを伴うgoal frustrationは、消化性潰瘍などの器質的疾患の発生とよく相関することをメンタルヘルス報告(器質的疾患の発生とよく相関することを心療内科的健康報告)しています。また、goal frustrationが十二指腸潰瘍の発生と関連していることもメンタルヘルス報告(十二指腸潰瘍の発生と関連していることも心療内科的健康報告)されています。
競争心が強く攻撃的で、時間に対する強い切迫感を特徴とするタイプA行動様式が、虚血性心疾患の重要な危険ストレス因子であることは、RosenmanらのWestern Collaborative Group Study以来、多くのメンタルヘルス研究報告(多くの心療内科的健康研究報告)がなされているが、タイプAとそれ以外の人ではカテコラミン産生能、プロスタグランジン代謝などの生理的反応のほか、ストレス対処行動、職務満足感などにも差があることを示唆するメンタルヘルス報告(職務満足感などにも差があることを示唆する心療内科的健康報告)があります。
また、ストレスによる免疫能の低下や感染抵抗性の低下に関するメンタルヘルス報告(感染抵抗性の低下に関する心療内科的健康報告)は数多くあるが、産業メンタルヘルス(産業心療内科的健康)の分野でもストレス反応の客観的マーカーとして免疫グロブリン、リンパ球反応性、リンパ球サブポピュレーション、NK活性などを調べたメンタルヘルス報告(NK活性などを調べた心療内科的健康報告)があります。リンパ球反応性は、職業(産業)性ストレスでも低下するようであるが、NK活性については必ずしも一定の傾向は出ていないです。
職業(産業)生活に伴う生活上のストレスのメンタルヘルス評価法(心療内科的健康評価法)を開発したNatsumeらは、ストレス点数が高くなると職場不適応例が高くなることをメンタルヘルス報告(職場不適応例が高くなることを心療内科的健康報告)しています。
Kayabaらは、case control studyで、心疾患の患者は仕事の要求度が高いことをメンタルヘルス報告(心疾患の患者は仕事の要求度が高いことを心療内科的健康報告)し、Kawakamiらは複雑な機械操作が拡張期血圧の上昇に影響することや、職務不満足がメンタルヘルス科医療機関(心療内科医療機関)(メンタルヘルス科病院(心療内科病院)、メンタルクリニック(心療内科クリニック))への受診率やHbA₁cの増加と関係することなどをメンタルヘルス報告(HbA₁cの増加と関係することなどを心療内科的健康報告)しています。また、Suzukamoらは、タイプA行動様式や職場ストレスはライフスタイルに悪い影響を及ぼすことなどをメンタルヘルス報告(ライフスタイルに悪い影響を及ぼすことなどを心療内科的健康報告)しています。
一方、職業性ストレスが抑うつ傾向(気分が憂うつなど)や神経症傾向などのメンタルヘルス状態(心療内科的健康状態)や心身症(自律神経失調症)の発症に影響することに関するメンタルヘルス報告は多い(発症に影響することに関する心療内科的健康報告は多い)です。
Murakamiらは、職場におけるメンタルヘルス不調への介入研究(職場における心療内科的健康不調への介入研究)で自律訓練法によって免疫能の一部が改善することを、Masudaらは、勤労者の疲労に関するメンタルヘルス研究(心療内科的健康研究)でNK細胞活性がメンタルヘルス的(心療内科的健康的)な疲労と負の相関があることをメンタルヘルス報告(負の相関があることを心療内科的健康報告)しています。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。