ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その14)
2020年02月17日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の14回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(ⅩⅢ)
~職場のメンタルヘルス不調(職場の心療内科的健康不調)の背景因子③~
◎職業性ストレスモデルの中での危険因子ⓒ
⇒他の著名な職業性ストレスの理論モデルとして、仕事の要求度-コントロールモデル、要求度-コントロール-社会的メンタルヘルス支援モデル(社会的心療内科的健康支援モデル)および努力-報酬不均衡モデルがあげられます。
3.仕事の要求度-コントロールモデル
⇒Karasekは、管理監督者のメンタルヘルス(管理監督者の心療内科的健康)的緊張をより正確にメンタルヘルス予測(心療内科的健康予測)するために仕事の要求度と裁量度によって数々のストレス反応との関連をメンタルヘルス的に検討(心療内科的健康的に検討)することを提唱しました。これを「仕事の要求度-コントロールモデル」といい、仕事上のストレスを、仕事の要求度(量的ストレス、役割ストレスなど)と仕事のコントロール(裁量権や技能の活用)の2軸でメンタルヘルス評価(心療内科的健康評価)するモデルです。仕事の要求度の高低と仕事のコントロールの高低とによって4群に分類し、仕事の要求度が高く、かつコントロールが低いメンタルヘルス状態(心療内科的健康状態)を高ストレインと定義し、ストレス反応やメンタルヘルス障害(心療内科的健康障害)が最も高く表出される群は、4群のうちで「高ストレイン群」であることが明らかにされています。
JohnsonとTheorellは、仕事の要求度-コントロールモデルに、ソーシャルサポート(職場の社会的メンタルヘルス支援(心療内科的健康支援))を加え、3次元に拡張した3メンタルヘルス要因(心療内科的健康要因)からなる「仕事の要求度-コントロール-社会的メンタルヘルス支援モデル(Job Demand-Control-Support Model)(仕事の要求度-コントロール-社会的心療内科的健康支援モデル(Job Demand-Control-Support Model))」を提唱しました。ソーシャルサポート(職場の社会的メンタルヘルス支援(社会的心療内科的健康支援))をメンタルヘルス予測変数(心療内科的健康予測変数)として追加した場合、ストレス反応の説明率がさらに上昇したことから、「仕事の要求度」「コントロール」「ソーシャルサポート(職場の社会的メンタルヘルス支援(職場の社会的心療内科的健康支援))」の3メンタルヘルス要因(3心療内科的健康要因)をメンタルヘルス測定することが現在では一般的(心療内科的健康測定することが現在では一般的)になっています。このモデルはすでにNIOSHの職業性ストレスモデルに包含されているとも言えるが、仕事の要求度とコントロール度を二大メンタルヘルス要因(仕事の要求度とコントロール度を二大心療内科的健康要因)として取り上げた点で特徴的といえ、職場での一つのメンタルヘルス的な視点(心療内科的健康的な視点)を与えています。
4.努力-報酬不均衡モデル
⇒Sieglistらは金銭的報酬、他者からの尊重、昇進などの報酬と、個人が報酬を得るために費やした努力の2メンタルヘルス要因(2心療内科的健康要因)を取り上げ「努力-報酬不均衡モデル」をつくり、報酬と努力の不均衡が種々のメンタルヘルス疾患(心療内科的健康疾患)や睡眠障害などのストレス反応を引き起こすことを明らかにしました。「努力」は仕事の要求度、責任、ストレスをメンタルヘルス測定(心療内科的健康測定)するメンタルヘルス項目(心療内科的健康項目)から構成され、「報酬」に関しては経済的報酬に加え、心理的報酬(セルフエスティーム)、キャリア(仕事の安定や昇進)の3メンタルヘルス要素からなる(3心療内科的健康要素からなる)としています。
このモデルのもう一つの特徴は、仕事に過度に傾倒する個人の態度や行動パターンを「オーバーコミットメント」と呼び、危険な個人メンタルヘルス要因(危険な個人心療内科的健康要因)としてメンタルヘルス測定しようとする点(心療内科的健康測定しようとする点)にあります。仕事で過度な要求をされるメンタルヘルス状況(心療内科的健康状況)において、努力と報酬の不均衡状態が交感神経系の緊張に及ぼす影響は、「オーバーコミットメント」という個人のメンタルヘルス特性(個人の心療内科的健康特性)によって増強されることが指摘されています。努力-報酬不均衡モデルは、この20年間職業性ストレス研究をリードしてきた「仕事の要求度-コントロールモデル」との相補的な関係が実証され、また、社会学的なメンタルヘルス状況要因(心療内科的健康状況要因)と心理学的な個人メンタルヘルス要因の統合(個人心療内科的健康要因の統合)を試みている点で、環境へのアプローチとともに個人へのアプローチをも含めたメンタルヘルス理論(心療内科的健康理論)に基づくストレス対策へのメンタルヘルス介入(心療内科的健康介入)と考えられています。
■職業性ストレスモデルを用いたストレスチェック制度によるメンタルヘルス判定(心療内科的健康判定)
⇒2015(平成27)年12月に法制化されたストレスチェック制度(労働安全衛生法)では、ストレスチェックとして職業性ストレス簡易調査票の使用が推奨されているが、そのストレスチェック結果をもとに作成することのできる「仕事のストレス判定図」は、要求度-コントロール-社会的メンタルヘルス支援モデル(要求度-コントロール-社会的心療内科的健康支援モデル)に基づいています。努力-報酬不均衡モデルは、努力(成果や業績)と報酬(金銭、尊重、仕事の安定)のメンタルヘルスバランス(心療内科的健康バランス)が崩れた、高努力-低報酬状態をストレスの高いメンタルヘルス状態と定義(心療内科的健康状態と定義)し、メンタルヘルス障害が生じやすい(心療内科的健康障害が生じやすい)としています。
ストレス反応を引き起こすメンタルヘルス因子(引き起こす心療内科的健康因子)には、職場のメンタルヘルス要因(職場の心療内科的健康要因)(職場の物理的環境、対人葛藤、仕事のコントロール、量的ストレス、技能の活用、職務満足感、雇用機会など)のほか、個人のメンタルヘルス要因(個人の心療内科的健康要因)(年齢、性別、ストレス対処行動など)、家庭のメンタルヘルス要因(家庭の心療内科的健康要因)(子どもの進学、親の介護、家族のメンタルヘルス疾患(家族の心療内科的健康疾患)、経済状況など)も含まれており、場合によってはストレス反応を弱めるメンタルヘルス要因(弱める心療内科的健康要因)もあります。メンタルヘルス不調(心療内科的健康不調)の背景因子を整理する際、これらの職業性ストレスモデルを用いることで、職場のメンタルヘルス不調の背景因子(職場の心療内科的健康不調の背景因子)を多面的に捉える助けになるかもしれないです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。