ホーム > ブログ > 心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(その13)
2020年02月13日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(勤労者の心療内科的健康)」の13回目です。引き続き、心療内科医の役割と勤労者のメンタルヘルス(心療内科的健康)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖職場のメンタルヘルス概観(職場の心療内科的健康概観)〗(Ⅻ)
~職場のメンタルヘルス不調(職場の心療内科的健康不調)の背景因子②~
◎職業性ストレスモデルの中での危険因子ⓑ
2.職業(産業)性ストレスの理論モデル(NIOSH)
⇒就労に伴うストレス、すなわち職業性ストレスに伴って生じるメンタルヘルス障害(心療内科的健康障害)に関しては、メンタルヘルス不調(心療内科的健康不調)の背景因子を捉えるうえでベースとなりうる、職業性ストレスの理論モデルがいくつか提唱されています。代表的なものとして、米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health:NIOSH)の職業性ストレスモデルがあげられます。これは、職場における種々のストレス要因に曝露されると、急性のストレス反応が生じ、曝露が慢性的に持続すると、何らかのメンタルヘルス障害が生じる(心療内科的健康障害が生じる)ことを示しています。この職業性ストレスモデルで重要なのは、原因(ストレッサー)と結果(急性ストレス反応あるいはメンタルヘルス疾病(心療内科的健康疾病))との間で、個人的メンタルヘルス要因(個人的心療内科的健康要因)(性格や年齢)、仕事外のメンタルヘルス要因(仕事外の心療内科的健康要因)(プライベートのメンタルヘルス問題(心療内科的健康問題))、緩衝メンタルヘルス要因(緩衝心療内科的健康要因)(上司や家族のメンタルヘルス支援(心療内科的健康支援))によって修飾され、同じストレス要因にさらされた場合でも、表出するストレス反応が異なってくることを明示した点であり参考になります。この職業性ストレスモデルは、Hurrelらがそれまでにメンタルヘルス報告(心療内科的健康報告)された膨大なメンタルヘルス研究報告(膨大な心療内科的健康研究報告)をメンタルヘルス分析(心療内科的健康分析)して作成したもので、この職業性ストレスモデルにメンタルヘルス対応(心療内科的健康対応)した職業性ストレス質問票があります。
わが国でもこの職業性ストレス質問票を使って大規模メンタルヘルス調査(心療内科的健康調査)が行われており、仕事の多忙や仕事の将来への不安、上司からのメンタルヘルス支援(上司からの心療内科的健康支援)の低さがうつ状態と関連していることがメンタルヘルス報告(関連していることが心療内科的健康報告)されています。この職業性ストレス調査票を用いた地方公務員に対するメンタルヘルス調査(地方公務員に対する心療内科的健康調査)で、重回帰メンタルヘルス分析(重回帰心療内科的健康分析)によって「仕事の要求量の変動」、「グループ内の人間関係における不調和」、「自己評価の低さ」、「職務満足感の低さ」、「社会的メンタルヘルス支援の低さ(社会的心療内科的健康支援の低さ)」などが職員のメンタルヘルス度(心療内科的健康度)の低さと強く相関していることを示すメンタルヘルス結果(心療内科的健康結果)が得られました。最近、わが国ではこの職業性ストレス調査票をもとに簡略化した職業性ストレス簡易調査票が開発され、NIOSHの職業性ストレスモデルに基づくメンタルヘルス評価尺度(心療内科的健康評価尺度)として、NIOSH職業性ストレス調査票(General Job Stress Questionnaire:GJSQ)や、職業性ストレス簡易調査票が使用されています。NIOSH職業性ストレス調査票は、仕事のストレッサー、急性ストレス反応、メンタルヘルスへの影響(心療内科的健康への影響)、修飾メンタルヘルス要因(心療内科的健康要因)などを包括的にメンタルヘルス測定(包括的に心療内科的健康測定)でき、モジュールごとの使用も可能なメンタルヘルス尺度(心療内科的健康尺度)となっています(表1)。
◇表1 NIOSH職業性ストレス調査票でメンタルヘルス測定(心療内科的健康測定)される職業性ストレス
『1.職場の物理的環境 10.メンタルヘルス的要求(心療内科的健康的要求)
2.役割葛藤と役割の曖昧さ 11.社会的メンタルヘルス支援(社会的心療内科的健康支援)
3.対人葛藤 12.仕事外のメンタルヘルス活動(心療内科的健康活動)
4.仕事のコントロール 13.職務満足感
5.量的労働ストレス 14.ストレス対処行動
6.労働ストレスの変動 15.仕事の将来の曖昧さ
7.技能の低活用 16.雇用機会
8.人々への責任 17.仕事によるメンタルヘルス疾病
9.仕事上の危険 (仕事による心療内科的健康疾病)、ケガ』
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。