職場のメンタルヘルス(その4) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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職場のメンタルヘルス(その4)

2019年07月24日 

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の4回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎職場のメンタルヘルスをめぐる最近の動向(Ⅳ)
●職業性ストレスうつ病などメンタルヘルス疾患の関連
職場のメンタルヘルスにおいては、職業性ストレスとの関係がクローズアップされることが多いです。現在、職業性ストレスのモデルとして、仕事の要求度(仕事の量的負荷やノルマ、役割ストレスなど)とコントロール(仕事を進めていくうえでの決定権や裁量の余地、仕事上の技能の水準など)の2軸で説明しようとする「仕事要求度-コントロールモデル(job demands-control model)」と、これに社会的支援(上司や同僚からの支援)を加えた「要求度-コントロール-社会的支援モデル(demand-control-support model)」が多く用いられています。仕事の要求度については抑うつ状態などメンタルヘルス不調との間に有意な関連があるとする報告が数多くあり、大うつ病などメンタルヘルス疾患についてもいくつかの横断的研究で仕事上のストレスとの有意な関連性が示されています。しかしながら、さまざまな交絡要因を調整したより詳細なデザインに基づく縦断研究では、労働でのストレス新たな大うつ病などメンタルヘルス疾患の発症との因果関係について否定的な結果も報告されています。仕事のコントロールの低さが抑うつ症状と関連することは数多く報告されているが、これも大うつ病などメンタルヘルス疾患発症との関連については否定的な結果のみ報告されています。一般的に、仕事の要求度が高くコントロールが低いことと抑うつ状態などメンタルヘルス不調とは有意に関連するといわれているが、これらの要因と大うつ病などメンタルヘルス疾患との関係性についてははっきりとした結論が出されているわけではないです。職場における社会的支援についても、抑うつ状態などメンタルヘルス不調との有意な関連については多く示されているが、大うつ病などメンタルヘルス疾患発症との関連を調べた先行研究はないです。
その他、自身の努力感と報酬(経済的、心理的報酬など)との不均衡に焦点を当てたモデルや、人間関係や職場不適応感に焦点を当てて抑うつとの関係を論じた研究報告もあるが、その多くは自記式質問票を用いた横断研究であり、直接大うつ病などメンタルヘルス疾患との関係をみた研究ではないことに注意しなければならないです。
そもそもうつ病などメンタルヘルス疾患の原因は、いまだ完全に解明されているわけではなく、職業性ストレスについても、それが職場うつ病などメンタルヘルス疾患の発症に影響を与える過程については今後より多くの研究結果を待たなければならない状況にあります。したがって、職場うつ病などメンタルヘルス疾患の予防においても、ストレス対策過重労働対策による「セルフメンタルヘルスケア」や「ラインによるメンタルヘルスケア」などを中心とした一次予防だけでなく、「事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルスケア」など二次予防、「事業場外資源によるメンタルヘルスケア」など三次予防についても積極的なメンタルヘルスケア対策を立てていくことが重要です。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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