ホーム > ブログ > 復職支援(リワーク)による長期就労は可能か?(その6)
2022年04月10日
千里中央(大阪府豊中市・北摂千里ニュータウン)、心療内科(メンタルヘルス科)・復職支援(リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)による長期就労は可能か?」の6回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖三つのリワーク(三つの復職支援)〗
近頃、「リワーク」という言葉(「復職支援」という言葉)が随所で様々な意味に使われ、リワークの概念(復職支援の概念)が混乱しています。このようなことから、リワークを表1に示す(復職支援を表1に示す)ように、メンタルヘルス科医療機関(心療内科医療機関)で行う「医療リワーク(医療復職支援)」、メンタルヘルス障害者(心療内科的健康障害者)職業センターで行う「職リハリワーク(職リハ復職支援)」、企業内や従業員支援プログラム(EAP)などで行われる「職場リワーク(職場復職支援)」に分けて考えられています。
これら3つのリワークの違いを表1に示す(3つの復職支援の違いを表1に示す)が、「医療リワーク」は、リハビリテーション(「医療復職支援」は、リハビリテーション)であり、メンタルヘルス科医療機関で行われて(心療内科医療機関で行われて)いるメンタルヘルス科治療を目的(心療内科治療を目的)としています。復職支援に特化(リワークに特化)したリワークプログラムが実施(復職支援プログラムが実施)され、メンタルヘルス不調者(心療内科的健康不調者)の再休職の予防を最終目標とした働き続けるメンタルヘルス状態(心療内科的健康状態)の回復とメンタルヘルス症状(心療内科的健康症状)の安定を目指したメンタルヘルス科治療(目指した心療内科治療)です。健康保険制度のもとで厚生労働省が定めるメンタルヘルス科施設基準(心療内科施設基準)のあるメンタルヘルス科デイケア(心療内科デイケア)やメンタルヘルス科作業療法(心療内科作業療法)あるいは集団メンタルヘルス科療法(集団心療内科療法)などで行われ、メンタルヘルス不調者本人(心療内科的健康不調者本人)の自由意思に基づき、リワーク費用(復職支援費用)の一部はメンタルヘルス不調者の自己負担(心療内科的健康不調者の自己負担)となります。
◇表1 3つの「リワーク」とその違い(3つの「復職支援」とその違い)
『①医療リワーク(医療復職支援):実施機関はメンタルヘルス科医療機関(実施機関は心療内科医療機関)/費用は健康保険/対象は休職者/主な目的はメンタルヘルス科治療(心療内科治療)と再休職予防
②職リハリワーク(職リハ復職支援):実施機関はメンタルヘルス障害者(実施機関は心療内科的健康障害者)職業センター/費用は労働保険/対象は休職者と事業主/主な目的は復職支援プラン(リワークプラン)に基づく復職支援(基づくリワーク)
③職場リワーク(職場復職支援):実施機関は企業内、EAPなど/費用は企業負担/対象は休職者/主な目的は労働させて良いかの見極め』
一方、厚生労働省傘下の独立行政法人高齢・メンタルヘルス障害(心療内科的健康障害)・求職者復職支援機構(リワーク機構)により都道府県に少なくとも1箇所置かれている地域メンタルヘルス障害者(地域心療内科的健康障害者)職業センターは、公共職業安定所と連携しながらリワーク相談(復職支援相談)から就労・職場復帰支援および職場適応(就労・リワーク支援および職場適応)までの一貫した職業リハビリテーションサービスを提供しています。そして、休職しているメンタルヘルス不調者(休職している心療内科的健康不調者)に提供されるサービスが「リワーク支援」(提供されるサービスが「職場復帰支援」)であり、民間企業に在籍するメンタルヘルス不調(心療内科的健康不調)による休職者の職場復帰(休職者のリワーク)と職場適応および雇用主をメンタルヘルス支援(心療内科的健康支援)していく職業リハビリテーションプログラムです。リワーク支援の目的(職場復帰支援の目的)はメンタルヘルス不調者の職場適応(心療内科的健康不調者の職場適応)と雇用主のメンタルヘルス支援(雇用主の心療内科的健康支援)であり、メンタルヘルス状態を回復(心療内科的健康状態を回復)させるためのメンタルヘルス科治療ではない(心療内科治療ではない)点が、メンタルヘルス科専門医療機関(心療内科専門医療機関)のリワークプログラムとの最も大きな違い(復職支援プログラムとの最も大きな違い)で、「職リハリワーク」と呼んで(「職リハ復職支援」と呼んで)います(表1)。もちろん、メンタルヘルス科主治医の許可(心療内科主治医の許可)も得て「リワーク支援」は始められる(「職場復帰支援」は始められる)が、メンタルヘルス科主治医(心療内科主治医)がうまく機能しないとメンタルヘルス状態の不安定(心療内科的健康状態の不安定)なリワーク支援利用者(職場復帰支援利用者)との間でトラブルになりがちです。したがって、メンタルヘルス状態が安定(心療内科的健康状態が安定)しており、メンタルヘルス科主治医ー患者関係(心療内科主治医ー患者関係)が良く、メンタルヘルス科主治医も協力的(心療内科主治医も協力的)であることが重要です。職場適応と雇用主へのメンタルヘルス支援(職場適応と雇用主への心療内科的健康支援)は、現状の医療リワーク(現状の医療復職支援)のリワークスタッフ(復職支援スタッフ)配置では実施がなかなか困難なため、職場へのリワーク支援(職場への職場復帰支援)が必要なケースに向くリワーク支援プログラム(必要なケースに向く職場復帰支援プログラム)です。
企業内で行われる復職支援(企業内で行われるリワーク)のための従業員向けリワークプログラム(従業員向け復職支援プログラム)などを「職場リワーク」と呼ぶ(「職場復職支援」と呼ぶ)場合があります(表1)。職場リワークは企業に所属(職場復職支援は企業に所属)するメンタルヘルス不調の社員(心療内科的健康不調の社員)に対し、安全に復職(安全にリワーク)を果たすために行う復職支援(果たすために行うリワーク)です。厚労省が「メンタルヘルス問題(心療内科的健康問題)により休業したメンタルヘルス不調者(休業した心療内科的健康不調者)の職場復帰支援の手引き(リワーク支援の手引き)」(復職支援ガイドライン(リワークガイドライン))で示したリワーク指針(復職支援指針)に盛り込まれた試し出勤やリハビリ出勤も職場リワーク(試し出勤やリハビリ出勤も職場復職支援)にあたります。これら職場リワークの背景(職場復職支援の背景)にはメンタルヘルス科主治医の発行(心療内科主治医の発行)する復職可能(リワーク可能)とする診断書どおりに復職(診断書どおりにリワーク)させても再休職が多いという現実に対応するメンタルヘルス措置(心療内科的健康措置)です。職場リワークは休職中に行われる(職場復職支援は休職中に行われる)ため、業務はさせないが出勤が可能かを確認でき、職場でのメンタルヘルス状態(職場での心療内科的健康状態)も観察することにより、復職させて安定した就労ができる(リワークさせて安定した就労ができる)のかを見極めることが大きな目的であり、「職場リワーク」(見極めることが大きな目的であり、「職場復職支援」)と呼んでいます。
この3つのリワークは目的も内容も異なる(3つの復職支援は目的も内容も異なる)ものであり、リワーク利用者の目的(復職支援利用者の目的)に応じた使い分けがされなければならないです。当初からメンタルヘルス状態が不安定(当初から心療内科的健康状態が不安定)でメンタルヘルス科診断(心療内科診断)もはっきりしないリワーク利用者(はっきりしない復職支援利用者)は医療リワークに導入(医療復職支援に導入)しなければならないです。当初からメンタルヘルス科治療を目的(当初から心療内科治療を目的)として職リハリワークに導入(職リハ復職支援に導入)されると復職がうまく達成(リワークがうまく達成)されないばかりでなく、メンタルヘルス状態の悪化(心療内科的健康状態の悪化)やメンタルヘルス症状の遷延化(心療内科的健康症状の遷延化)を招くことになりかねないです。小規模事業所でメンタルヘルス不調の社員(小規模事業所で心療内科的健康不調の社員)の休職者の経験が少ないところでは、職リハリワークでは事業主に適切なアドバイス(職リハ復職支援では事業主に適切なアドバイス)を与えることもできます。その違いを知って、上手にリワークを利用(上手に復職支援を利用)してほしいです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科 精神科(メンタルヘルスケア科)・職場復帰支援(リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。