職場のメンタルヘルス(その32) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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職場のメンタルヘルス(その32)

2019年10月02日 

千里中央大阪府豊中市北摂千里ニュータウン)、心療内科 精神科メンタルヘルスケア科)・復職支援リワークおよびリワークプログラム)協力医療機関「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「職場のメンタルヘルス」の32回目です。引き続き、職場のメンタルヘルスについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖産業精神保健の基本問題(産業メンタルヘルスの基本問題)〗(ⅩⅧ)
メンタルヘルス疾患は自殺の原因となり得るか?
自殺は多要因的なメンタルヘルス現象であり、メンタルヘルス疾患という単一のメンタルヘルス的原因だけでその実相に迫ることはできないことはあえて指摘するまでもないです。しかし、自殺に至る重要なメンタルヘルス要因として、①認知の歪みと、②衝動性のコントロール能力のメンタルヘルス的障害があります。
自殺に直結しかねない認知の歪みとは、メンタルヘルス問題を抱えた場面で、ほかのメンタルヘルス的解決策が思いつかずに、自殺だけが唯一のメンタルヘルス的解決手段であるといった、いわゆるメンタルヘルス的視野狭窄に陥っているメンタルヘルス状態です。
衝動性のコントロール能力のメンタルヘルス的障害とは、自己の安全やメンタルヘルスを守るための行動が取れなくなるメンタルヘルス状態を指し、激しい攻撃性が自己に向けられたとき、自殺は現実のものとなりかねないです。そして、認知の歪みも衝動性のコントロール能力のメンタルヘルス的障害いずれもメンタルヘルス疾患(特に十分にメンタルヘルス症状コントロールされていないメンタルヘルス疾患)と密接に関連しています。当初はほかのさまざまなメンタルヘルス的原因から始まったメンタルヘルス問題が長期間かけて準備状態が徐々に深刻になっていき、そして、最後の行動に及ぶ前には何らかのメンタルヘルス疾患メンタルヘルス科診断に該当するといった例が大多数です。
自殺とメンタルヘルス疾患
自殺とメンタルヘルス疾患の関連についてのメンタルヘルス的研究は、これまでにも数多くあります。そのメンタルヘルス的研究のうちのいくつかを見てみましょう。自殺の実態を調べる上で、メンタルヘルス的剖検がしばしば用いられています。メンタルヘルス的剖検は自殺が起きた際に、メンタルヘルス科専門医精神科医・心療内科医)が訪れ、メンタルヘルス的調査の意図を説明し同意を得た上で、故人をよく知っている人々や産業保健スタッフなどメンタルヘルス管理スタッフメンタルヘルス科面接したり、関係書類をメンタルヘルス的に検討することによって、自殺の直前にどのようなメンタルヘルス問題が生じていたのかを探る手法です。
WHOが実施した多国間共同メンタルヘルス的調査に基づくメンタルヘルス結果によると、メンタルヘルス的剖検の手法を用いて、15,629人の自殺者が最後の行動に及ぶ前に、どのようなメンタルヘルス疾患を抱えていたかメンタルヘルス的調査しています。そのメンタルヘルス的調査結果によると、「メンタルヘルス科診断なし」はわずかに約4%であり、自殺に及ぶ前に96%のメンタルヘルス不調者何らかのメンタルヘルス疾患メンタルヘルス科診断該当するメンタルヘルス状態にありました。さらに、適切なメンタルヘルス科専門治療受けていたメンタルヘルス不調者となると、10~20%程度にとどまっていました。したがって、WHOはうつ病などメンタルヘルス不調、アルコール依存症、統合失調症を早期に発見し、適切なメンタルヘルス科専門治療を実施することによって、自殺率を低下させる余地は十分にあると繰り返し強調しています。
Conwell らはメンタルヘルス的剖検をもとに実施された代表的なメンタルヘルス的調査を総説しているが、そのメンタルヘルス的調査結果をまとめると、WHOのメンタルヘルス的調査と一致しているのは、「メンタルヘルス科診断なし」がやはり10%に満たないという点です。十分にメンタルヘルス症状がコントロールされていないようなメンタルヘルス疾患が自殺と密接に関連していることをこのメンタルヘルス的調査も指摘しています。
Arsenault-Lapierre らは1986(昭和61)~2002(平成14)年の期間に世界中で実施され報告されている152のメンタルヘルス的剖検のうち、適切なメンタルヘルス科診断基準に基づく27のメンタルヘルス的剖検報告(3,275事例)についてメタ分析を実施しました。地域別にメンタルヘルス的剖検報告対象となった研究数(括弧内は事例数)は、ヨーロッパ14(n=1,488)、北米7(n=794)、オーストラリア3(n=258)、アジア3(n=735)です。全体で見ると、87.3%にメンタルヘルス疾患メンタルヘルス科診断が該当しました。多少の地域差はあるものの、自殺者が生前に罹患していたと考えられるメンタルヘルス疾患は平均すると、①気分障害などメンタルヘルス障害43%、②物質関連障害(アルコール依存症を含む)26%、③パーソナリティ障害16%、④その他のメンタルヘルス障害9%でした。
自殺のメンタルヘルス的な危険因子
⇒自殺のメンタルヘルス的危険因子とメンタルヘルス疾患特にメンタルヘルス症状そのもの十分にコントロールされていないようなメンタルヘルス疾患)が密接に関連することを、多くのメンタルヘルス的調査が共通して明らかにしています。ただし、自殺のメンタルヘルス的な危険因子メンタルヘルス評価するには、単にメンタルヘルス疾患だけに焦点を当てるだけでは十分ではないです。表1にあげたようなほかの危険因子を総合的にメンタルヘルス判断する必要があります。
なお、この種のメンタルヘルス的な危険因子やほかのさまざまなメンタルヘルス評価尺度メンタルヘルス判定できるのは、危険群(メンタルヘルス的な危険因子を比較的多く満たす群)と非危険群(メンタルヘルス的な危険因子が比較的少ない群)を比較して、数年単位の追跡メンタルヘルス的調査をした場合に、両群間に統計学的に有意差が現れるといった程度のメンタルヘルス判定材料と考えるべきであり、一般的な予見性についてのメンタルヘルス参考資料に過ぎないことも承知しておかなければならないです。目の前に現れたメンタルヘルス不調者に対してメンタルヘルス科専門医師精神科医師・心療内科医師)が知りたいと考える、たとえば24時間以内といったきわめて近い将来に自殺が生じる可能性を確実に予測できるほど正確なメンタルヘルス尺度は、残念ながら存在しないです。
表1 自殺のメンタルヘルス的な危険因子
『・自殺未遂歴:自殺未遂は最も重要なメンタルヘルス的な危険因子/自殺未遂のメンタルヘルス状況、方法、意図、周囲からの反応などをメンタルヘルス的に検討
メンタルヘルス疾患の既往:気分障害(うつ病躁うつ病など)、統合失調症パーソナリティ障害、アルコール依存症、薬物乱用
メンタルヘルス支援の不足:未婚、離婚、配偶者との死別、職場での孤立
・性別:自殺既遂者(男>女)、自殺未遂者(女>男)
・年齢:わが国では中高年男性でピーク
・喪失体験:経済的損失、地位の失墜、メンタルヘルス疾患やけが、業績不振、予想外の失敗
・性格:未熟・依存的、衝動的、極端な完全主義、孤立・抑うつ的、反社会的
・他者の死の影響:メンタルヘルス的に重要なつながりのあった人が突然不幸な形で死亡
・事故傾性:事故を防ぐのに必要な措置を不注意にも取らない/慢性疾患への予防や医学的な助言を無視
・被虐待経験:小児期のメンタルヘルス的虐待・身体的虐待・性的虐待』
自殺の危険をメンタルヘルス評価するというのは21世紀の現在であっても、メンタルヘルス科臨床経験に基づいた職人芸のような側面があることを忘れてはならないです。自殺の危険は静的なものではなく、動的なものであることを念頭に置いて、繰り返しメンタルヘルス評価していく必要があります。そのメンタルヘルス評価する際に、次のような点を考慮します。
メンタルヘルス的な危険因子と保護因子を秤にかける
②生活史上に認められた自己破壊傾向をメンタルヘルス的に検討し、それと危険因子をメンタルヘルス的に比較検討する
③自殺の危険の背景に存在するメンタルヘルス疾患重症度をメンタルヘルス判定する
衝動性をコントロールする能力をメンタルヘルス評価する
⑤衝動性を高めたり、それをコントロールする能力を妨げたりする、アルコールや薬物の影響はないかメンタルヘルス的に検討する
メンタルヘルス不調者本人が自殺をどのようにとらえているか(すべてのメンタルヘルス問題を直ちに解決する魔法の杖のように肯定的にとらえているか、どちらかといえば否定的にとらえているか)を肯定的か否定的かどうかメンタルヘルス的に検討する
⑦将来をどのようにとらえているか(今よりも明るい未来が待っているととらえているか、現在よりもさらに絶望的であると考えているか)を希望的か絶望的かどうかメンタルヘルス的に検討する
自殺防止対策について
「メンタルヘルス疾患は自殺の原因となり得るか?」との問いに対しては「なり得る」と答えることができるでしょう。ただし、メンタルヘルス疾患に罹患していても決して自殺行動に及ばない多くのメンタルヘルス不調者が存在することもまた事実です。単にメンタルヘルス疾患だけに焦点を当てるのではなくて、衝動性の制御能力がメンタルヘルス障害されていることを示すほかのメンタルヘルス的サイン慎重に見極めて、メンタルヘルス不調者の自殺のメンタルヘルス危険評価を行い、自殺予防のための適切なメンタルヘルス対応をしなければならないです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科メンタルヘルス科)・職場復帰支援リワーク支援およびリワーク支援プログラム)協力医療機関「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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