気分安定薬の分類とその特徴について | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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気分安定薬の分類とその特徴について

気分安定薬とは、双極性障害(躁うつ病)において双方向性(抗操、抗うつ)の作用をもち、また気分変動を抑制し、躁うつ両病相の予防効果をもっ薬物の総称です。現在わが国で双極性障害に対して承認されている薬物は、気分安定薬の炭酸リチウム(Li)、カルバマゼピン(CBZ)、バルプロ酸ナトリウム(VPA)、ラモトリギン、および非定型抗精神病薬のオランザピン、アリピプラゾールです。その他、種々の抗てんかん薬、カルシウムチャンネル遮断薬、ベンゾジアゼピン系薬物、非定型抗精神病薬も気分安定薬としての作用を一部もつことが報告されています。

薬理作用

気分安定薬の薬理作用については明確でありません。Liの作用機序として、受容体の細胞内二次メッセンジャー系を修飾することによって作用するとの仮説があります。すなわち、G蛋白(GTP結合制御蛋白)やG蛋白とアデニルシクラーゼとの共役、あるいはイノシトールモノホスファターゼや蛋白質キナーゼに作用して、神経伝達物質が受容体を通じて細胞内に伝えるシグナルを変化させることが知られています。CBZやVPAの作用機序については明らかでありません。ナトリウムおよびカルシウムチャンネルの抑制によるグルタミン酸の作用の減弱、γ -アミノ酪酸(GABA)の作用の増強、また二次メッセンジャー系への作用を介している可能性などが挙げられています。近年、双極性障害のリスクファクターとして、XBP1遺伝子のプロモーター領域における遺伝子多型が関連しているとの知見が報告されています。さらに、双極性障害におけるXBP1に関連した転写作用の減弱がVPAによって回復するとの興味深い知見も得られており、今後の研究成果が期待されています。

治療の基本は薬物療法

双極性障害(躁うつ病)の治療の基本は、気分安定剤を用いて、気分の変動が大きくなりすぎないようにすることです。気分安定剤には化学元素(Li)のリチウム、抗てんかん薬のバルプロ酸、カルバマゼピンなどがあります。リチウムの投与中は定期的にリチウムの血中濃度を調べることが必要です。リチウムの血中濃度は、治療効果のあるレベルと副作用の強くなるレベルが接近していますので、血中濃度が治療効果のあるレベルにとどまっている事を確認する必要があるからです。

状況に応じて、他の薬も使われます。例えば、うつの症状が強い時には、抗うつ薬が用いられます。また、場合によっては、非定型抗精神病薬が使われることもあります。気分安定剤に効果がない場合は電気痙攣療法(ETC) が適応となります。

治療の展開は急性期治療>継続期治療>予防的維持です。まず、急性期の強い症状を軽減させ、次に、躁うつから回復するまで薬物療法を継続し、その後、躁うつ症状の再発を防ぐために予防的に薬物療法を続けます。期間のそれぞれの目安は、躁うつが初回の場合、個人個人の状態にもよりますが、急性期治療が3ヶ月、継続期治療が6~9ヶ月、そして予防的維持に1年以上です。

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