2018年06月27日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の64回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●うつ病などメンタルヘルス不調で休業後、完全に職場復帰(完全にリワーク)ができるまでの四つのステージ
〖第1ステージ(要治療期(治療専念期))〗(約3ヵ月)
『メンタルヘルス症状が不安定なため、治療に専念し、メンタルヘルス不調の回復を最優先する時期です。
うつ病などメンタルヘルス不調の治療は休養と抗うつ薬の服用が第一ですので、この時期の目標は安心して療養できる環境作りと信頼してメンタルヘルス疾患を診てもらえるメンタルヘルス専門医療機関を見つけることです。』
◎受診のときに医師に伝えておきたいこと①
チェックリスト~〔本人が伝えること編〕~
■①いつごろからどのような症状が出始めたのか
(症状について)
身体症状→頭痛やめまい・吐き気・微熱などの身体面での不調はあるか?
行動面の変化→遅刻や欠勤・不眠や食欲不振などの生活面での変化があるか?
メンタルヘルス症状→気分の落ち込み・やる気が出ないなど、メンタルヘルス面での不調はあるか?
■②思い当たる原因や大きなストレスイベントがあったのか
仕事上の大きな失敗やプライベートでの環境の変化など、何か身の回りで大きなストレス(疲労)となるイベントがあれば、それが原因となり、うつ病などのメンタルヘルス疾患を発症した可能性があるため、医師に伝えるようにしましょう。
■③現在の体調はどうか
自分の現在のメンタルヘルス状態や1日の生活状況・睡眠・食欲の状態などを具体的に伝えましょう。
■④現在の不安や心配について
現在困っていること・不安に思っていること・相談しておきたいことなどは、きちんと伝えましょう。仕事で気がかりなことなど、一見メンタルヘルス医療とは関係のない情報も診察の際には重要な情報になります。
■⑤今までにかかったことのあるメンタルヘルス障害や家族のメンタルヘルス科の通院歴について
身体の病気が原因でうつ病などメンタルヘルス障害を発症することもありますし、また、メンタルヘルス障害の中でも遺伝性を認めるものもありますので、家族(両親・祖父母・子供など血のつながりのある一族)のメンタルヘルス科の通院歴を伝えることも重要です。
■⑥現在、治療しているメンタルヘルス障害について
他の病気の治療薬の副作用としてうつ病などメンタルヘルス障害が現れることもありますし、薬の飲み合わせの問題で、現在受けている治療の内容(特に薬の内容)が必要になります。
◎受診のときに医師に伝えておきたいこと②
チェックリスト~〔付き添いの人が伝えること編〕~
■①普段との比較について
メンタルヘルス専門医とはいえ、一度の診察でその人の今までの様子を推測することは容易ではありません。「普段はどのような性格だったのか」「口数は多い方だったのか」「外出は好きな方だったのか」など、普段との比較は診断の重要な手がかりになります。
■②具体的なメンタルヘルス症状について
「家でどのようなことを言っていたのか」「会社の人からどのようなことを言われたのか」など、現在のメンタルヘルス状態についてわかる範囲のことは主治医に伝えるようにしましょう。
■③現在の周囲の環境について
上記うつ病などメンタルヘルス障害の人は自分の置かれている状況を悲観的に捉えているため、仕事や家庭についての周囲の人から客観的に見た情報があると診察に役立ちます。具体的には「職場の環境はどのようなものか」「家庭では十分に療養できる環境か」などが重要です。
■④本人の補足
今までにかかったことのあるメンタルヘルス障害や現在治療中のメンタルヘルス障害、家族にメンタルヘルス科の通院歴がある方がいるかどうかなど、上記〔本人が伝えること編〕の中で、十分に伝えきれていない項目がある場合には、補足をするようにしましょう。
◎第1ステージ チェックリスト
■メンタルヘルス疾患のことや職場復帰のこと(リワークのこと)など何でも信頼して相談できる主治医(精神科医・心療内科医)が見つかった
⇒職場うつ病などメンタルヘルス疾患の治療において、薬物療法や十分な休養に加え、自分のメンタルヘルス症状や悩みを打ち明けられる主治医(精神科医師・心療内科医師)の存在は非常に重要です。職場復帰まで共に歩んでくれる(リワークまで共に歩んでくれる)主治医(心療内科医・精神科医)を見つけましょう。
■休養や薬の服用の必要性が十分に理解でき、安心して治療を受けられる
⇒治療を開始した当初は、ただ休んでいるだけで良いのか不安になったり、薬の副作用や依存性が気になったりするものです。メンタルヘルス専門医師(心療内科医師・精神科医師)の説明などを参考に、安心して治療にのぞみましょう。
■睡眠を十分に取り、朝きちんと起床できる
⇒上記うつ病などメンタルヘルス疾患の初期は不眠(眠れない)や朝方の気分の落ち込みが見られ、生活のリズムが乱れがちです。リハビリ期でのトレーニングはある程度、生活リズムが整ってから始めましょう。
■テレビを見たり、雑誌を読んだりすることが億劫ではない
⇒自分の好きなことを少しずつ苦痛に感じなくなるところから、意欲の回復は始まります。まずは自分の好きなテレビ番組を見たり、雑誌を読んだりすることができるようになればOKです。
■食事をおいしく食べることができる
⇒それまで全く食欲のなかった人や、「食べないと体に良くないから」と無理やり食事をしていた人が、食事をおいしく感じたり、食べたいものが思い浮かぶようになればメンタルヘルス不調の回復の兆候です。
■頭痛(頭が痛い)やめまいなどの体調面での不調が軽減された
⇒上記うつ病などのメンタルヘルス科の疾患はメンタルヘルス面の症状に加え、身体面の症状がよく見られます。身体面の症状の軽減は、メンタルヘルス疾患が快方に向かっているサインです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。