2018年06月09日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の56回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●職場復帰後(リワーク後)、メンタルヘルス疾患の再発予防期における家族のサポート方法
この復職直後(リワーク直後)の時期に家族は職場復帰をした方(リワークをした方)のメンタルヘルス疾患の再発兆候のモニタリングを行うことが重要です。なぜなら、主治医(精神科医・心療内科医)は2週間に1回程度の診察でしか患者様とお会いすることができませんし、職場の方もずっと様子を観察できるわけではないので、最も身近で本人のメンタルヘルスの変化に気づくことができるのは、家族になるのです。それではこれから、家族が注意すべきメンタルヘルス疾患の再発兆候のチェックポイントを説明します。
『◎家族が注意をすべき「うつ病などメンタルヘルス疾患の再発兆候」
■身体面のサイン
最初は「ちょっと体の調子が悪いな」という感じがメンタルヘルス不調の再発の兆候です。頭痛や腹痛などの各種の痛み・めまい・動悸・微熱などの身体の不調を認め、病院で検査を受けても異常がないと言われ、自律神経失調症と診断を下された場合には注意が必要です。
また、血圧が上がったり、アトピー性皮膚炎がひどくなるなどの心身症の状態になったり、それが悪化したりする場合にもストレス過多や疲労の過度な蓄積が予測されますので注意しましょう。
■行動面のサイン
行動面のサインは周囲の人が一番気づきやすく、家族にとっても注意すべきサインとなります。ご存知の方も多いように、うつ病などのメンタルヘルス疾患は朝方にメンタルヘルス症状が出やすい病気ですので、そのときが重要なバロメーターとなります。また、集中力の低下による物忘れの増加や睡眠時間の減少・食欲の減退、場合によっては飲酒量の増加などの生活習慣の変化も注意すべきポイントの一つです。
■メンタルヘルス面のサイン
メンタルヘルス不調の再発の兆候としては、感情の不安定さが現れることが多くみられ、些細なことで怒ったり、イライラしたりして他人に当たり、突然不安な気持ちや悲哀な気持ちにさいなまれて泣き出したりします。また、ひきこもりがちになり、家族との接触を避け始めたような場合にも注意が必要でしょう。』
このような身体面・行動面・メンタルヘルス面のサインが見られたら、受診時に付き添い、主治医(精神科医師・心療内科医師)に相談をしてみることや、本人にそのサインを告げ、「職場の産業医に相談してみたら」と促してみることが望まれます。そして、場合によっては「職場復帰プラン(リワークプラン)」のペースを落としたり、必要に応じて休養を取得したりするなど、職場とも相談をしながらメンタルヘルス不調の再発予防につなげていくことが重要なのです。
ちなみに、このようなサインが見られたときに家族の方が「本人にそんなことを告げたら、ますます落ち込んでしまうのではないか」と気を遣い、なかなか本人や主治医(心療内科医・精神科医)にそのことを伝えづらい場合があるかもしれませんが、そのまま伝えずにうつ病などメンタルヘルス不調が再発してしまったとしたら、本人にとって、さらにつらい事態になってしまいます。ですから、ちょっとしたことでもサインを感じ取ったときには、それが深刻にならないうちに早めに本人に告げ、適切な休養を取っていただけるようにアプローチしていくことが最も本人のためになるのです。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。