摂食障害(その2) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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摂食障害について(その2)

検査所見

(1)体重

ANの場合「期待される体重」(標準体重)の 85%以下になったとき、診断基準を満たします。標準体重はブローカの標準体重(桂の変法)、body mass index(BMI)を用いることが多いです。

(2)心電図

ANの場合、低代謝の結果、30~40/分の洞性徐脈になることもあります。

(3)血液検査

ANで代謝が下がると甲状腺ホルモンはTSHが高値、FT3が低値となります。るいそうが急速に進むと、中性脂肪は低値になりますが、コレステロールだけが逆に高値を示すこともしばしば認められます。汎血球減少、低タンパク血症、肝機能障害、電解質(とくにカリウムと塩素)低値なども認められます。

(4)画像診断

低栄養が進むと低タンパク血症となり、血管内の水分が血管外に漏出します。身体の外側に出れば浮腫となり、内側に貯まれば画像上胸水、腹水として現れます。大脳皮質も萎縮しますが、これは栄養改善により可逆的とされています。

診断

精神医学的診断は「自己の価値を保持するための痩身の追求」という精神病理の証明でありますが、現実には容易ではないです。ただ重要なことは、このような心性はけっして「自殺願望」などではなく、むしろ逆に「生きる価値を求めている」ということであります。「体型をやせて保つということは、自分自身の価値を保つという意味で大事なことなのですね」と明確に伝えることで、治療の端緒とします。

ほかの精神疾患と同様、診断はこのような治療関係の構築なしに、まったく客観的に行えるものではないです。AN の場合このような治療的文脈がなければ、治療者とは患者様の価値を奪う迫害的な他者として受け止められてしまいます。BNの場合でも価値を保とうとして、それが失敗した状態となっているわけで、根底では上記のような心性があります。治療的にはこのような心性に理解を示しつつ、同時に客観的にはこのような事態が続いても、結局は患者様の求める「生きる価値」そのものが得られるわけではなく、また身体的にも悪影響が出ていれば、その改善を早急に図らねばならないことをも同時に伝えることが、患者様の苦悩を受け止めることにつながります。

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