ホーム > ブログ > リワーク(復職支援)プログラム(その22)
2018年12月05日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職支援)プログラム」の22回目です。引き続き、リワークプログラム(復職支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワークプログラムとは?〗(ⅩⅩⅠ)
◎1人で実践する個人リワークプログラム(個人復職支援プログラム)など自宅での復職支援デイケア(リワークデイケア)
~休職期間の長短や金銭的な問題など、職場復帰までの条件(リワークまでの条件)は人それぞれ。1人でも自宅でも、復職への段階(リワークへの段階)を着実に踏むことができる。~
⇒メンタルヘルス状態の回復期に入ったら、なるべく早く復職を目指し(リワークを目指し)て、リワークプログラムなどリハビリ(復職支援プログラムなどリハビリ)を始めることがポイント。「自宅近くに復職支援施設(リワーク施設)がない」、あるいは、「復職支援施設があっても数ヵ月待ち(リワーク施設があっても数ヵ月待ち)」という場合でも、表1に沿って復職支援に取り組めば(リワークに取り組めば)、1人でもしっかりと復職への準備を進める(リワークへの準備を進める)ことができます。主治医(精神科医・心療内科医)に相談すれば、患者様に合わせた個人リワークプログラムを組んで(個人復職支援プログラムを組んで)くれるケースもあります。
時に孤独を感じたり、行き詰まりを感じたりしたら、各種メンタルヘルス相談窓口をはじめ、地域の社会資源を活用するといいです。例えば、1つ目のメンタルヘルス不調や現在の治療状況を相談したい場合、「いのちの電話」「全国の保健所」「全国の精神保健福祉センター」などの相談窓口やサイト、2つ目の臨床心理士にカウンセリングを受けたい場合、「臨床心理士に出会うには」のサイト、3つ目の仕事のストレス、職場の悩みを相談したい場合、「全国の労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター」「全国の日本産業カウンセラー協会」「各都道府県の労働局」などの相談窓口やサイト、4つ目の徐々にリズムを整え、復職の準備(リワークの準備)を始めたい場合、「全国の精神保健福祉センター、メンタルヘルス科専門病院、メンタルクリニックなど医療機関内にある復職支援施設(医療機関内にあるリワーク施設)でのリワークプログラムなどデイケア(復職支援プログラムなどデイケア)」「全国の地域障害者職業センターのリワーク支援(職場復帰支援)」などの相談窓口やサイトがあります。また、休職を機に、これまでの仕事人生を見つめ直したいと思ったら、キャリアカウンセラーの門をたたくのも一考。なかには求職者を対象に、男女共同参画センターでは主に女性を対象にキャリア・カウンセリングを実施しているところもあるので問い合わせたいです。
工夫次第で充実したリワークプログラムメニュー(充実した復職支援プログラムメニュー)を組むことができます。復職プラン(リワークプラン)を自分自身で計画することも「復職支援におけるリハビリの一環(リワークにおけるリハビリの一環)」ととらえ、焦らず、前向きに復職支援に取り組み(リワークに取り組み)ましょう。
◇表1 職場復帰の流れ(リワークの流れ)
『●第1段階:メンタルヘルス疾患急性期(静養 ゆっくりメンタルヘルスを休める時期)
→休職開始から1週間程度は、メンタルヘルスや疲労回復のため、じっくりと休養する。
●第2段階:メンタルヘルス疾患回復期(生活のリズムを整え、メンタルヘルス症状の改善時期)
→①決めた時間に就寝・起床
・出勤時刻に合わせて起床し、夜は6~8時間の睡眠がとれる時間に就寝する。
・長すぎる療養を避け、なるべく早い段階から規則正しいリズムを作るよう心がける。
→②散歩や軽い運動を始める
・ストレッチなどの軽い運動をしてメンタルヘルス状態を回復させ、日中の活動性を高める。
→③メンタルヘルス症状の自己管理をする
・メンタルヘルス症状の変化を毎日欠かさず記録し、自己管理をする
・記録をつけることがメンタルヘルス疾患の再燃・再発防止につながる。
・メンタルヘルス科専門医師(精神科医師・心療内科医師)が患者様のメンタルヘルス症状を把握し、メンタルヘルス症状に合う薬を処方するための判断材料になる。
・服薬管理もしっかり行い、抑うつ気分や不眠などのメンタルヘルス症状は薬物療法で治すものと理解する。
●第3段階:復職準備期(リワーク準備期)(通勤の練習、仕事の練習時期)
→①図書館に通う
・生活リズムが規則正しく整い、メンタルヘルス症状も安定してきたら、通勤の練習として出社時間に合わせて自宅近くの図書館に通う。精神保健福祉センターやメンタルヘルス科専門病院、自助グループなどの個人リワークプログラム・デイケア(個人復職支援プログラム・デイケア)を利用するのもよい。
・週2日から始め、メンタルヘルス状態を見ながら日数や滞在時間を徐々に増やしていく。
・最終的には週5日通い、活字を追っていられる状態を目標とする。
→②作業能力を回復する
・まずは漫画や字の大きな本を読むことから始め、慣れてきたら休職前に読んでいた新聞や小説に移行する。
・メンタルヘルス状態の回復が実感できたら、仕事関連の書籍や資料に移行する。
・パソコンを使っての作業も望ましい。仕事関連の書類を作成したり、パソコン検定の問題に挑戦したりするのもよい。
→③過去を見つめ直す
・図書館での作業中にメンタルヘルス状態が戻ってきたら、うつ病などメンタルヘルス不調になった経緯をじっくり考える。
・環境面(仕事や職場の人間関係など)と自分の内面(気質)、両面から見つめたリポートはメンタルヘルス不調の再発防止につながる。
→④会社付近へ模擬通勤する
・近所の図書館通いに慣れてきたら、会社付近の図書館に場所を変えて、実際に朝の通勤電車に乗る練習をする。
・習い事やボランティアなどに規則正しく通う方法もよい。
・家族や親しい人以外の他人と接することも、職場へ復職する(職場へリワークする)訓練につながる。
●第4段階:復職交渉期(リワーク交渉期)(円滑な職場復帰(円滑なリワーク)を目指す時期)
→会社と復職に向けて交渉(リワークに向けて交渉)する
・上司、人事担当者、産業医、産業保健師らと綿密な打ち合わせをする。
・どういう形で復職したい(リワークしたい)のかーー試し出勤の有無、希望する配属部署や勤務地、出退時間などを具体的に伝える。』
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。