復職支援(リワーク)(その73) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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復職支援(リワーク)(その73)

2018年07月12日 

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の73回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●メンタルヘルス疾患の再発・再燃への予兆
うつ病などメンタルヘルス疾患は再燃率の高い疾患であり、メンタルヘルス疾患は再発・再燃を繰り返すことでうつ病エピソードの遷延化およびメンタルヘルス疾患の再発・再燃率の上昇をきたすため、メンタルヘルス疾患の発症予防だけでなくメンタルヘルス疾患の再発・再燃予防も非常に重要となります。メンタルヘルス疾患の再発・再燃に至る原因の一つに、自己判断による薬物療法の中断があります。メンタルヘルス科精神科・心療内科)受診への敷居が下がってきているとはいえ、メンタルヘルス科への通院メンタルヘルス科の薬の内服への偏見はいまだなくならないのが現状です。このことは患者様本人だけでなく周囲の人にも当てはまり、その偏見が通院や内服の中断を引き起こすというケースはいまだ多いです。
この点から言えるメンタルヘルス疾患の再発・再燃予防のための気づきとして、復職後リワーク後)に主治医(精神科医・心療内科医)の指示どおり通院をしているか、内服を継続しているか、ということが非常に重要な点としてあげられます。また、復職直後リワーク直後)には「これまで休んでいた分を取り戻そう」と過剰適応状態に陥りやすく、結果として疲弊を招く例も少なくないです。
うつ病などメンタルヘルス疾患が再発・再燃したケースでは多くの場合、初回と同様のストレス反応を自覚するといわれています。よって、初発時のメンタルヘルスの変化メンタルヘルス症状を把握することは、メンタルヘルス疾患の再発・再燃の予防のために非常に重要です。初発時のメンタルヘルスの変化メンタルヘルス症状の再出現メンタルヘルス疾患の再発・再燃の危険信号であり、それに気づいたときには仕事のペースダウンや休養などの適切な配慮を早急に行うことができるよう、復職の前リワークの前)に産業保健スタッフらにより本人や職場上司に指導が行われることで、メンタルヘルス疾患の再発・再燃の予防、あるいは早期発見に繋がると考えられます。
これまで、メンタルヘルス疾患の徴候となるストレス反応には個人差があるため、メンタルヘルス疾患の病前の状況をよく把握しておくことが重要であることを説明しました。しかし現代社会において上司はプレイングマネジャーと化し、十分なコミュニケーションをとる機会・余裕は減少しています。部下一人ひとりに対して十分に気を配ることが理想ではあるが、それはむしろ困難になっているのが現状です。そのような「余裕のない」職域の現状を鑑みると、メンタルヘルス不調に陥るリスクの高い勤労者に注目して重点的に配慮することも実際には必要なテクニックであり、重要な考え方の一つと言えます。
メンタルヘルス不調の早期発見の手がかりとしては、まず急性ストレス反応にはどのようなものがあるのか理解することが重要であるが、急性ストレス反応は個人によって異なります。上司が日頃のコミュニケーションを大切にし、部下の性格特性を理解するとともに「ちょっとした変化」に対して気づけるよう産業保健スタッフが働きかけることが重要です。
メンタルヘルス疾患の再発・再燃の可能性
メンタルヘルス疾患で休業した勤労者のうち、60~90%の者が仕事にほぼ支障のない程度までメンタルヘルス不調から回復することがわかっています。また、うつ病などメンタルヘルス不調だけに限れば慢性化は20%程度であり、職場による適切な復職支援職場による適切なリワーク)によってメンタルヘルス不調の予後はよりよくなると考えられています。
その一方で、難治性うつ病メンタルヘルス不調の再発例は、職域における就労パフォーマンス低下事象として問題となることが多く、実際、職場うつ病などメンタルヘルス不調は再発・再燃が多いことも知られています。大うつ病性障害の50~80%が、その後最低1回は再発するという報告があります。また、World Psychiatric Association(WPA)の報告によれば、大うつ病性障害の20%が再発をきたし、30%が慢性化するといわれています。ある予後調査の結果では、5年以内のメンタルヘルス不調の再発率は62%で、10年間では75%であると報告されています。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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