復職支援(リワーク)(その44) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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復職支援(リワーク)(その44)

2018年04月20日 

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の44回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●なぜ、職場復帰は難しいリワークは難しい)のか
以前お話ししましたが、なぜ、うつ病などメンタルヘルス疾患による長期休業者が急増しているのでしょうか?インターネットの普及で間接的なコミュニケーションが増えたことやストレス社会が原因かもしれません。しかし、日本人が数年で急激にストレスに弱くなったと考えるのは、あまりにも不自然であり、個人がストレスに対して弱くなったというよりも、社会的に大きな変化が起こっていると考える方が妥当だと私は考えています。つまり、うつ病などメンタルヘルス疾患の患者数が急増した大きな原因は、効率主義や成果主義を追い求め、休養や勤務の軽減で十分にメンタルヘルス不調から回復可能な軽いうつ状態などメンタルヘルス疾患の労働者に対し、適切な配慮をする余裕が職場でなくなってきてしまっていることであると考えるのです。現在、多くの会社で少ない人員で大きな業績を求め、「少し疲れた」と感じたときにも適切な休養を取ることが難しく、疲れ切って会社に行けなくなってしまうまで頑張り続けることが求められてしまうので、うつ病などメンタルヘルス疾患につながっています。今より職場に余裕があった数年前には「最近、元気ないね。今日は代わりに私が仕事を片付けておくから、たまには早く帰ってゆっくり休んだ方がいいよ」と上司が配慮できていたのに、その上司にも余裕がなくなり、優しい声を掛けてあげることができなくなっているのが現状なのです。
ここで皆様に「ある理科の実験」を思い出してほしいと思います。それはビーカーに水を入れ、固体の物質を入れて、ガスバーナーでビーカーを熱し、徐々に水の温度を上げると物質がたくさん溶け始め、逆に温度を冷やすと再結晶として物質が析出してしまうという実験です。実は、うつ病などのメンタルヘルス不調休業した後の職場復帰休業した後のリワーク)でも、これと同じことが起こっているのです。詳しく説明をすると、まず水に入れた物質が休業者の「うつ」の度合を、そして温度が職場の温かさを表していると考えてください。80℃の状態は職場復帰に対する理解リワークに対する理解)があり、適切な配慮を行ってくれる温かい職場を示しています(許容度の高い職場)。この場合、本調子でなくても周囲が「無理をしない方がいいよ」とフォローをしてくれるので、多少、メンタルヘルス症状悪くてもうつ病などのメンタルヘルス不調が顕著化せず、職場に溶け込むことができます。しかし、余裕のない冷たい職場(許容度の低い職場)の4℃の状態は、職場に戻っても、本調子でないにもかかわらず「職場復帰をしたリワークをした)のだから、一人前の仕事をしてください」と言われてしまいます。そして、無理をした結果、まだ完全に治りきっていないうつ病などのメンタルヘルス不調が顕著化し、再休業になってしまうのです。つまり、職場復帰をする上でリワークをする上で)重要なことは、自分のメンタルヘルス不調を良くする(このモデルでは物質の量を減らすこと)と共に、職場(特に管理職)にも十分に自分のメンタルヘルス不調職場復帰当初リワーク当初)はあまり無理ができる状態ではないということを理解していただいた上で、職場復帰を果たすことリワークを果たすこと)なのです。
会社によっては、メンタルヘルス専門の産業保健スタッフ(産業医・保健師・カウンセラーなど)が配置され、上記うつ病などメンタルヘルス疾患の研修会が行われるなど、上記うつ病などメンタルヘルス疾患に対する理解が深まってきている場合も多くあります。しかし、「うつ病などメンタルヘルス疾患は怠け病だ」と勘違いをしている上司もまだまだいますので、そんな場合には上司に上記うつ病などメンタルヘルス疾患を正しく理解してもらい、職場復帰の環境づくりリワークの環境づくり)に協力してもらう必要があるのです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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