2018年03月04日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の23回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】それではこのリハビリ期には一体何をすべきなのでしょうか?この「リハビリ」はあくまで職場復帰に向けた(リワークに向けた)リハビリなので、職場環境に適応できるようにメンタルヘルスのコンディションを整えることが目標になります。そのため、療養が中心だった要治療期(治療専念期)とは異なり、リハビリ期では治療期に衰えてしまった身体的な体力や集中力・注意力・持続力のような職場で働くために必要なメンタルヘルス機能を回復していくためのトレーニングが必要になるのです。ちまたでは、うつ病などメンタルヘルス疾患の患者様に対して「頑張れ」と言ってはいけないということばかりが独り歩きをしてしまっていますが、実際に職場復帰(実際にリワーク)は患者様が頑張らなくては成し遂げることができません。もちろん「頑張れ、頑張れ」と過度に励ますことは好ましくありませんが、メンタルヘルス不調の改善がある程度は認められるリハビリ期では、職場復帰に向けて具体的な目標(リワークに向けて具体的な目標)を掲げながら、リハビリを行っていくことが重要になります。
例えば、マラソン選手が軽い捻挫をした場合と疲労骨折をした場合ではリハビリに必要となる期間が異なってきますが、うつ病などメンタルヘルス疾患の場合も同様で、要治療期(治療専念期)にどの程度の時間を要したかによって、このリハビリ期の期間にも個人差が生じるのです。だから、1人で気負いすぎることのないように、主治医や家族と相談しながらリハビリ期の目標設定を行っていくと良いでしょう。
さらに、このリハビリ期ではメンタルヘルス疾患の再発予防のための「こころのトレーニング」も重要です。多くの方が休業に入る前と同じ職場に戻ることになりますので、ある程度、ストレスに耐えられる心作りをしておかなければ、結果として休業前と同様のストレスにさらされたときに、再び休業を余儀なくされてしまいます。もちろん、職場復帰に際して(リワークに際して)職場側にある程度の配慮を求めることは重要ですし、職場も可能な範囲でそれに応えることが望まれます。しかし、職場はあくまで労務提供の場であり、会社という組織自体が営利を目的とする組織であることからすれば、職場の配慮に過度な期待をすることは禁物です。例えばこの時期に、何でも完璧を求めすぎてしまい、いつも職場を出るのが最後になってしまうという自分の行動パターンを見直さなければなりません。そして「うつ病などのメンタルヘルス疾患になりやすい考え方や行動パターン」を修正し、うまく「仕事というストレスと付き合える力」を身に付けられるように心がけましょう。
この期間は体力面やメンタルヘルス面ではメンタルヘルス不調になる前の自分を取り戻すことを目標とし、上記うつ病などのメンタルヘルス疾患を再発させないための新たな自分を獲得するための時期と考えて良いでしょう。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。