「むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)」とは、脚の表面ではなく、内部に不快な異常感覚が生じる疾患です。その異常感覚は「むずむず」「虫が這う」「ほてる」「炭酸が泡立つ」「ちりちりする」などさまざまな言葉によって表され、患者にとってきわめて不快なものです。症状が起きた場合、患者は脚を叩いたり、寝返りを繰り返すことなどで不快感を軽くしようとします。重症になるとじっとしていることができず、居ても立っても居られなくなり歩き回らなければいけない状態になります。
また、むずむず脚症候群の症状は、夕方から夜間に現れることが多いため、「入眠障害(眠りにつくことができない)」「中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう)」「熟眠障害(ぐっすり眠れない)」などの睡眠障害の原因となり、その結果日中に耐えがたい眠気を引き起こし、忠者のQOL(生活の質)が著しく低下するといった悪循環に陥ります。
この症状は妊娠中の女性の2割くらいにも見られます。しかし、ほとんどの方は授乳期間が終わるまでには自然に解消するようです。
患者の多くが適切な薬物療法で症状が大幅に改善されますが、一般.医師ともにいまだ認知率が低く、なかなか周囲に理解してもらえない場合も少なくありません。また、専門医を見つけられない方や、適切な診断・治療が受けられない方も多く存在します。
正確な原因はまだ解明されていません。
などが考えられています。脳内での鉄分の欠乏や、ドーパミンの合成異常がかかわっているという仮説が有力です。つまり、人間の神経で情報の受け渡しを行うドーパミンという神経伝達物質は鉄分が不足すると分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまい、すべて脳への情報が誤って伝えられる為、身体の感覚に異常を感じるとされています。周期性四肢運動障害(PLMD)とRLSは密接な関係があることが昔から議論されており、現在は同じ原因、同じ疾患カテゴリーに属すると考えられています。
RLS患者の約80%の方に睡眠時周期性四肢運動(PLMS:Periodic Limb Movements in Sleep)が認められます。睡眠中に足首の関節をピクピクと背屈させるような動きを周期的に繰り返す運動で、終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)によって確認されます。
その運動の回数が多く、かつ、そのために覚醒反応が起こり睡眠の質を悪くする結果、熟睡感の欠如や昼間の眠気が起こってくる状態が、周期性四肢運動障害(PLMD:Periodic Limb Movement Disorder)と診断されます。
RLSとPLMSを合併した場合、寝つきが悪い、眠りが浅い、何度も目が覚めるうえに再入眠し難いということで、熟睡感を得ることができず、強い不眠と昼間の眠気をもたらします。PLMDに対する治療はRLSの治療薬と同じ薬が用いられています。