2018年10月03日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の114回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(ⅩⅩⅣ)
◎リワークプログラム(復職支援プログラム)⓬
■復職支援施設(リワーク施設)など医療機関におけるリワークプログラム(医療機関における復職支援プログラム)
(2)復職支援施設など医療機関(リワーク施設など医療機関)で行うリワークプログラムの要素(復職支援プログラムの要素)
④心理社会療法としてのリワークプログラム(心理社会療法としての復職支援プログラム)
⇒リワークプログラム自体の目的(復職支援プログラム自体の目的)は、以下のⓐ~ⓕにまとめられます。
『ⓐ自らのメンタルヘルス症状を把握してメンタルヘルス不調の安定度をはかり、メンタルヘルス不調の悪化の徴候があれば早期の対処を行うためのメンタルヘルス症状やメンタルヘルスの自己管理(セルフメンタルヘルスケア)をできるようにすること。これは安全に就労を続けていくために必須のことであり、主治医(精神科医・心療内科医)にメンタルヘルス不調を確実に伝えることも大切である
ⓑセルフメンタルヘルスケアができるようになるために、自分のメンタルヘルス疾患を知ってメンタルヘルス症状などを理解すること:いわゆる「メンタルヘルス疾病教育」を行い、メンタルヘルス疾病の成り立ちや治療法、予後などを学び、客観的に自己のメンタルヘルス症状の観察ができてはじめて、セルフメンタルヘルスケアができるようになる
ⓒメンタルヘルス疾患の理解が進み自己のメンタルヘルス症状がモニターできることに加え、なぜ自分がメンタルヘルス疾患となったのかの洞察ができるようになること。メンタルヘルス疾患発症のメカニズムは似ていても、人によってメンタルヘルス疾患発症の経緯は異なるので、自分なりのメンタルヘルス疾患発症メカニズムが理解できていることがメンタルヘルス疾患の再発予防には必須である。とかく自らを取り巻く環境要因に対して目が向きがちであるが、とりわけ自己の内的要因に対して十分に目を向けないと、メンタルヘルス疾患の再発予防は困難である
ⓓ気分障害に特徴的な認知の歪みや考え方、物事の受け取り方のパターン化された思考を修正する心理学的手法を学び、身につけること。具体的には認知行動療法などが用いられる場合が多いが、ほかの心理療法も用いられる
ⓔ集団での協働作業を通じてコミュニケーション能力を回復させること。これは職場に戻った際にすぐに必要とされることであり、また、言いにくいことを上手に表現することも大切である。メンタルヘルス疾患療養中には対人関係が家族や友人に限定されてしまうことから、他者とコミュニケーションをとる感覚を取り戻しておくことは、スムーズに復職(スムーズにリワーク)を行うためには必須のことである
ⓕキャリアの再構築を行うこと。就労中にメンタルヘルス疾患が発症したことを考えれば、今後の働き方や生き方をもう一度考えておく必要がある。これは特定のリワークプログラムの目的(特定の復職支援プログラムの目的)というより、すべてのリワークプログラムを通じて貫かれる視点(すべての復職支援プログラムを通じて貫かれる視点)である。メンタルヘルス疾患について知識を得て、自分のメンタルヘルス症状をモニターしながら、休職した理由を環境ばかりではなく自己の内部にもあることを知り、働き方ばかりではなく、生き方まで変容させていくことに繋げる。これらのプロセスで獲得したものは、メンタルヘルス疾患の再発、再燃、再休職に対する強力な防御となり、メンタルヘルス疾病の完全寛解、治癒へと繋ぐ大事な要素となる』
上記のような諸点を達成するためにはリワークプログラムの企画(復職支援プログラムの企画)、リワークプログラムの実施(復職支援プログラムの実施)においては bio-psycho-social(生物・心理・社会的)な視点を欠くことができず、メンタルヘルス専門医療機関内の復職支援機関(リワーク機関)で実施されるリワークプログラムは、心理社会療法(復職支援プログラムは、心理社会療法)と位置づけられます。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。