2018年09月22日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の109回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖リワーク(Re-Work)とは?〗(ⅩⅨ)
◎リワークプログラム(復職支援プログラム)❼
■メンタルヘルス専門医療機関での戦略的リワークプログラム(戦略的復職支援プログラム)
②職場復帰過程の可視化と標準化(リワーク過程の可視化と標準化)
⇒戦略的リワークプログラムにおいて(戦略的復職支援プログラムにおいて)は、職場復帰の目標(リワークの目標)は、単に職場復帰する(単にリワークする)ことではなく、職場で求められる役割期待に応えながら働き続けることであると考えています。この復職目標を達成(リワーク目標を達成)するには、メンタルヘルス専門医療機関内の復職支援施設(リワーク施設)で働いている復職支援スタッフ(リワークスタッフ)と労働者だけでなく、職場管理監督者、人事担当者、産業医、産業保健スタッフなど職場復帰支援(リワーク支援)の関係者が同じ復職目標(同じリワーク目標)に向かって積極的に職場復帰過程にかかわること(積極的にリワーク過程にかかわること)が不可欠です。職場復帰支援の関係者(リワーク支援の関係者)が同じ方向を向き足並みをそろえるための工夫として、職場復帰過程の可視化(リワーク過程の可視化)と標準化を行っています。
職場復帰支援の関係者がイメージ(リワーク支援の関係者がイメージ)しやすいように、職場復帰過程を「骨折したスポーツ選手がレギュラーに復帰する」過程として可視化(リワーク過程を「骨折したスポーツ選手がレギュラーに復帰する」過程として可視化)しています。骨折とメンタルヘルス疾患では異なる部分があります。ただ、仕事に復職する(仕事にリワークする)、仕事を続けるという点からいえば、共通する部分も少なくないです。仕事をすることがメンタルヘルス疾患の悪化につながらない程度まで治療をしっかり行い、次に日常生活が規則正しく送れるようにリハビリテーションを行います。それができたら、仕事に復職するためのリハビリテーション(リワークするためのリハビリテーション)(練習)を開始します。仕事に復職したら、段階的に負荷を上げて通常勤務(レギュラー復帰)を目指し(リワークしたら、段階的に負荷を上げて通常勤務(レギュラー復帰)を目指し)ます。仕事に復職する目途(リワークする目途)が立ってきたら、メンタルヘルス不調の再発予防の策定も忘れないです。これら職場復帰の目標に対し(リワークの目標に対し)、職場復帰過程(リワーク過程)を休養治療期、職場復帰準備期(リワーク準備期)、試し出勤期、復職後(リワーク後)支援期の4つに分け、それぞれの復職過程の時期(リワーク過程の時期)で取り組むべき課題として標準化します。休養治療期、職場復帰準備期、試し出勤期(リワーク準備期、試し出勤期)は各時期の課題をクリアすることで次に進むことができるが、復職後支援期(リワーク後支援期)だけは課題設定と同時に期間設定を行います。2か月ごとに就業制限を緩和し、通常勤務に向けて業務割当を増やしていくのです(図1)。
◇図1 復職後支援期の課題設定(リワーク後支援期の課題設定)と期間設定
『・復職後1か月~2か月(リワーク後1か月~2か月):定時勤務相当の業務を継続して行える。残業および休日出勤は禁止
・復職後3か月~4か月(リワーク後3か月~4か月):通常勤務に向けて業務負荷のステップアップ。残業は月20時間以内
・復職後5か月~6か月(リワーク後5か月~6か月):通常勤務に向けてさらに業務負荷のステップアップ。残業は月45時間以内
・復職後7か月以降(リワーク後7か月以降):就業制限を解除し、通常勤務』
復職後支援期を課題設定かつ期間設定(リワーク後支援期を課題設定かつ期間設定)で行う目的は大きく分けて2つあります。1つは、職場が被る負担が過剰にならないようにするためです。職場復帰には、職場の協力と配慮が不可欠(リワークには、職場の協力と配慮が不可欠)です。最初は協力的だった職場も、配慮が長期化したり休職と復職が繰り返され(リワークが繰り返され)たりすると、配慮を負担に感じ非協力的になることが少なくないです。こうした現象を防止するのです。もう1つは、働き続けるための課題に向き合うためです。職場復帰を目指す労働者(リワークを目指す労働者)の中には、そうした課題を認識できていない人が少なくないです。「自分は働けないかもしれない」という可能性に向き合うのが不安で目を逸らしている人もいるが、根拠なく「自分は働けるはず」と信じ込んでいる人もいます。職場復帰を目指し課題への認識がない労働者(リワークを目指し課題への認識がない労働者)が働き続けられるようになるには、自らの課題に向き合いそれを克服する必要があります。課題設定かつ期間設定という復職後支援期での枠組み(リワーク後支援期での枠組み)によって、取り組むべき課題がある場合には、それはメンタルヘルス不良、勤怠不良、想定したアウトプットが出ないという形で明らかになります。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。