2018年02月18日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援(リワーク)」の14回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】○セカンドオピニオンの勧め
現在、精神科医療・心療内科医療が進歩し、同じうつ病などメンタルヘルス疾患に対してもさまざまな薬が登場し、薬物療法以外の治療方法についても科学的な検証がなされてきているので、患者様にもたくさんの選択肢があります。患者様も「自分の飲んでいる薬で本当にメンタルヘルス不調が良くなるのか」「西洋医学の薬よりも漢方薬でメンタルヘルス不調を治したい」「薬物療法と心理療法(カウンセリング)を併用したい」など、それぞれ医療に対する希望や姿勢が異なってきています。そこで、自分にとって最善と考えられる治療を患者様が自ら判断できるように、主治医以外の医師の意見を求めることをセカンドオピニオンと言います。
最近、がんの治療などでは積極的にセカンドオピニオンを求める動きが進んでいますが、精神科・心療内科の世界では「他の先生に意見を求めることは、主治医を信用していないみたいで失礼になるのではないか」「セカンドオピニオンのための診療情報提供書を書いてほしいと言いにくい」という患者様の遠慮があり、セカンドオピニオンが当然に求められる段階には達していません。
しかし、がんの治療であれ、うつ病などメンタルヘルス疾患の治療であれ、患者様の大切な将来に大きな影響を及ぼすものなので、積極的に自らが納得できる治療法を求め、職場復帰の味方(リワークの味方)となってくれる主治医を探すことは非常に重要なのです。自分が不信感を持ったまま、治療を受け続けていても前向きな治療にはなりませんし、逆に、セカンドオピニオンを求めることで、不信感を抱いていた主治医の治療方針が他の医師から見ても適切で、信頼できるものであることを確認できる良い機会となるかもしれません。
確かに、他の医師に意見を求めることは、現在の主治医に失礼なのではないかという不安はあるかもしれません。しかし、自らの診断や治療方針に自信を持って診療をしている医師であれば、当然、他の医師の意見も踏まえた上で自分の治療方針が正しいと認識してもらえれば構わないと思うでしょうし、逆に主治医が「私の治療方針が信用できないのですか」「他の医師の話を聞きたいのであれば勝手にしてください」など、セカンドオピニオンに消極的な場合は積極的に主治医を変えることを考えても良いかもしれません。
ここで、セカンドオピニオンの受け方について、少し触れておくことにしましょう。セカンドオピニオンを受診する機関は基本的に自分が意見を聞いてみたい医療施設で受けることに尽きます。つまり、「友達があそこのクリニックが良いと言っていた」「雑誌であの病院は評判が良かった」など、自分が望む医療機関にセカンドオピニオンを依頼することが良いでしょう。
ただ、なかなかそのような医療機関が見つからない場合、精神科の専門的なトレーニングを受けた医師にセカンドオピニオンを求めることも一つの方法です。精神科の専門的なトレーニングを受けた証として、国家資格の「精神保健指定医」と公益社団法人日本精神神経学会が認定する「精神科専門医」があり、それぞれ精神科医としての経験年数や経験症例を積まなければ取得できない資格ですので、一つの目安にはなるでしょう。でも、そのような資格を持たない医師でも優れた精神科医・心療内科医はたくさんいますので、まずは自分が意見を聞いてみたいと思う医師がいる場合、そちらを優先する方が良いでしょう。
最後に、セカンドオピニオンを受ける際に必要な費用について簡単に紹介をしましょう。まず、現在の主治医に診療情報提供書を書いてもらう必要があります。診療情報提供書を発行する場合には、診療情報提供料という費用がかかり、普段の診察費などに加えて診療費として患者様に請求されます。診療情報提供書の発行は一般の診断書と異なり、健康保険が適用となります。しかし、セカンドオピニオンを受けるときは原則として「診療」ではなく、あくまで「相談」という扱いになるため、健康保険給付の対象外となりますので、全額自己負担になる点は注意が必要です。
以上、千里中央駅直結・千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。