2015年12月18日
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク (復職)支援」の15回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】こころの病もまた、他の病と同じように再発の防止が大切です。再発に関する報告では、うつ病の再発率は60%もあり、その後再発を繰り返すとさらに再発率が高くなるとされています。再発を防ぐために、ご本人は職場復帰をあせらない(リワークをあせらない)こと、また、ご家族も復職に向けた(リワークに向けた)休業中の安心できる環境をつくることが円滑な職場復帰支援(リワーク支援)をするうえで大切です。ご本人も「もう働ける」と感じても、主治医の意見に耳を傾け、普段の様子を見ているご家族のご意見も参考にして、再発しない、ゆとりのある職場復帰(ゆとりのあるリワーク)をしましょう。
こころの病からの回復にとって、心身の休養は、専門家(精神科・心療内科)による治療とともに、車の両輪に喩(たと)えられるほど非常に大切です。病気の種類や重症度によっては、仕事を休まず続けながら通院治療を重ねて改善する例もありますが、無理をして勤務を続けたために、病状がひどくなって回復にひどく時間がかかってしまうことは非常に多いものです。主治医から仕事を休んでの治療を勧められたら、それに従うのが賢明です。
こころの病は、多くの場合、集中力や判断力の低下をもたらしますから、職場に迷惑をかけられないという気持ちで仕事を続けても成果はあまり上がりませんし、ミスが多くなったり、不安全行動を起こしてしまったりして、かえって職場の仲間に迷惑をかけてしまう事態になる可能性もあるでしょう。
たとえば、うつ病では、次のような悪循環(負のスパイラル)に陥りがちであることがよく指摘されます。仕事を頑張ろうと思っても頑張れない状態に陥っているにも関わらず、目の前の仕事をこなさないとさらに仕事が溜まり、つらさが増していく。そのため、休みたくても休めない。でも、休まないと病状がよくならず、頑張れない状態が続いてしまい、仕事がさらに溜まっていく・・・。そこから逃れるためには、一時的に上司や同僚に仕事を預けて、休養に入ることが重要なのです。
しばらく休業することになったら、持ち帰りの仕事を少しずつでもこなすといったようなことは一切せず、気持ちを仕事から切り離して、ゆっくり休養するようにしましょう。
もっとも、病状によっては、休業を続けることがさほどよい結果を生まないと考えられることもないわけではありません。そのような場合でも、職場復帰のタイミング(リワークのタイミング)を図ることは大切ですから、自分の判断だけで話を進めるのではなく、主治医によく相談するようにしてください。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。