2015年02月26日
皆様、こんにちは。心療内科 精神科、千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「ストレスと精神疾患」の4回目です。
【続き→】もちろん、定義上、発症時にはっきりとしたストレス因子が存在している必要があるとされている疾患はあります。たとえば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、生死にかかわるようなストレス状況に曝露したために、それがトラウマ体験として残り、激しい精神的苦痛や日常生活に著しい支障が出ている場合に診断されることになっています。急性ストレス障害は、同様に生死にかかわるようなストレス状況に曝露した直後の精神状態の診断名です。このほか、適応障害は、はっきりとしたストレス因子のためにうつや不安、行動の障害が認められ、うつ病性障害などの診断基準を満たさない場合に使われる診断名です。
一方、ストレス因子が発症にほとんど関与しない精神疾患もあります。アルツハイマー型認知症は脳内の器質的な病変によって起こると考えられているし、一般身体疾患や薬物によって起こる精神疾患もあります。このように、ストレス因子が大きく関与して発症する精神疾患や、ほとんどそうした関与のない精神疾患もあるが、多くの精神疾患はなんらかの生物学的背景のある人が、1つあるいは複数のストレス因子を経験することで発症しており、治療にあたっても、そうした各側面を検討しながら、多面的な治療的アプローチを行う必要があります。
以上、心療内科、千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。