2015年01月14日
皆様、こんにちは。心療内科(千里中央駅直結・千里セルシー3階)「杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
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●症状が似ている病気
非定型うつ病は、従来型の定型うつ病とは正反対の症状が現れたりすることがあって、他の病気と間違われやすい病気といえます。主なものは、「双極性障害」「パーソナリティ障害」「慢性疲労症候群」「過食症やむちゃ食い障害」「ナルコレプシー」などがあります。
■《双極性障害》
双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれた病気で、非定型うつ病と同じ気分障害のひとつです。双極性障害は、躁状態(気分が病的に高ぶっている状態)と、うつ状態(気分が落ち込んだ状態)が交互に現れる精神疾患で、非定型うつ病と間違われやすいのは、このうちの「うつ状態」のときです。よく似た症状があり、定型うつ病や非定型うつ病と双極性障害のうつ状態の鑑別は、なかなか難しいところがありました。従ってこれまでは、はっきりとした躁状態の既往歴があるかどうかを、問診のときや家族から聞き出せれば、それが決め手となっていましたが、それが出来ない場合は、近赤外光を使って脳内の血流を測定する光トポグラフィー検査などを用いて診断していました。しかし、これも補助的診断にすぎません。
双極性障害には、Ⅰ型とⅡ型(欧米ではAkiskal分類としてⅥ型まである)があり、Ⅰ型はうつ状態と入院を必要とするような躁状態が見られる場合であり、Ⅱ型はうつ状態と外来治療が可能な程度の軽躁状態を繰り返す場合をいいます。ただ、軽躁状態というのは、本人も周りも調子がいい状態だと勘違いしてしまい、なかなか双極性障害と気づくことが困難です。また受診する場合でも、うつ状態のときしか病院へ行かないので、医師も正しい診断ができず、定型うつ病や非定型うつ病と誤って診断してしまうこともあります。
双極性障害の中心的な治療薬は、気分安定薬です。定型うつ病や非定型うつ病で使われる抗うつ薬とは違います。双極性障害のうつ状態なのに、抗うつ薬だけで治療してしまうと、躁状態に転じてしまうことがあるため、より的確な診断が求められます。