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リワーク支援について(その25)
皆様、こんにちは。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク支援について」の25回目です。前回に続き、リワーク支援(職場復帰支援)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●具体的な配慮のポイントを把握する
管理監督者は自らの日常業務を行いながら、職場復帰(リワーク)してきた労働者のメンタルヘルスケアも行うことになるため、できるだけ負担が軽くなるよう、具体的な配慮のポイントを説明しておくとよいでしょう。
まず、就業に耐えうる健康状態を保つのは労働者側の責務であるということを明示しておくことが重要です。職場としての環境調整などの一定の配慮は求められるものの、労働者自身が自ら健康管理に努めるよう促すのが管理監督者の役割であり、その労働者の健康状態を維持する主体的な責務はないと知っておくだけでも、管理監督者の負担感が軽減されます。
また、従来から言われていることであるが、職場においては、その労働者の病名や症状などの疾病に関連する事項に焦点を当てるのではなく、疾病によって起こる業務上の問題を捉えて対処につなげるよう、管理監督者へ説明しておくとよいです。なお、業務上の問題とは、業務パフォーマンスやコミュニケーション上の問題がより「問題」視されやすいが、客観的かつ比較的容易に把握できるのは労務管理上の問題です。つまり、遅刻、早退、欠勤の状況や、就業時間中の休憩や離席の頻度などは、客観的な記録として取りやすく、就業規則に基づいて労働者に問題を指摘するとともに、背景に病状の悪化や再発がないかどうか確認することが比較的容易なため、労務管理上の問題を中心に観察していくように伝えておきます。
初めて部下の職場復帰を経験(リワークを経験)するような場合、職場復帰した(リワークした)労働者に対する業務上の指示や指導について、配慮の程度に苦慮する管理監督者もいます。確かに、職場復帰直後(リワーク直後)にはある程度の軽減措置が必要ではあるが、そもそも通常勤務が可能として職場復帰してきている(リワークしてきている)のであるから、基本的には通常の従業員と同様に対応して構わないのだということを認識してもらうようにします。
職場での職場復帰支援の中心的な役割(リワーク支援の中心的な役割)を果たすのは管理監督者であり、労働者の就業能力が回復するまで実務上の負担を分かち合うのは同僚です。したがって、上記のような具体的な配慮のポイントを示し、職場の負担が過度にならないようにすることは、ひいては労働者自身への職場復帰支援ともなる(リワーク支援ともなる)と考え、適度な配慮のあり方を示しておくことが重要です。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。