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リワーク支援について(その24)
皆様、こんばんは。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク支援について」の24回目です。前回に続き、リワーク支援(職場復帰支援)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】■試し出勤制度などの性質を理解すること
試し出勤制度などとは、正式な職場復帰前(リワーク前)に、①模擬出勤、②通勤訓練、③試し出勤といった出勤制度などを設け、早期の復職(リワーク)、労働者の就業に関する不安の緩和、より高い職場復帰の成功率(リワークの成功率)を期待して行われるものです。療養が長期化した労働者などにとっては効果的であることも多く、職場にとっても受け入れ態勢を整えていく上で役に立つこともあるが、一方で、従来から指摘されているように、処遇の取り決めや労働(通勤)災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけについて、あらかじめ十分に検討し、ルール化しておくことが必要です。
③の試し出勤では、試験的ではあるものの、職場に労働者が継続して出勤してくることになります。したがって、出退勤の記録の管理や、試し出勤中の作業場所や作業内容、体調不良時の対応などについて、具体的に内容を定めて文書化し、関係者で共有しておくことが必要です。試し出勤中に業務を指示した場合などには、労働基準法が適用される場合があることなどにも留意し、職場の管理監督者に注意を促しておきます。
また、当初計画した通りの試し出勤ができなかった場合の対応について、あらかじめ労働者と申し合わせておく必要があります。つまり、試し出勤が計画したとおりに実施できなかった場合には、いまだ労務を提供できる健康状態には回復していないとの判断で、職場復帰を延期(リワークを延期)することを助言することになる旨を、あらかじめ労働者に理解しておいてもらうのです。主治医に対しても、このような申し合わせ事項について情報提供しておくとよいです。
以上のような職場復帰の基本的な考え方(リワークの基本的な考え方)を明確に示し、本人や家族、主治医を含めた関係者全員で認識を共有しておくことで、職場復帰に関連して(リワークに関連して)起こりやすい摩擦やトラブルの発生を抑え、問題が起きたときにも、共通認識に立ち返ることでスムーズに解決につなげることができます。このような素地を作っておくことが、労働者を受け入れる職場の管理監督者および同僚への支援の一環となると考えられます。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。