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リワーク支援について(その18)
皆様、こんばんは。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク支援について」の18回目です。前回に続き、リワーク支援(職場復帰支援)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●試し出勤制度
以前、「リハビリ出勤」「リハビリ勤務」「ならし勤務」などさまざまな名称が使用されてきた制度があります。共通する内容は、長期に休業した労働者に対して、正式な勤務を行う前に、通勤の練習、単純作業、その他負荷の軽い作業を行わせる(行うことを認める)ことです。しかし、これらの実施が、職場復帰(リワーク)を認める前か、認めた後かによって、それに絡む事柄が大きく変わってきます。職場復帰支援手引き(リワーク支援手引き)では、職場復帰前(リワーク前)、すなわち休業中に行うものを「試し出勤」とし、職場復帰後(リワーク後)に軽減された業務を行うのは、業務面の配慮として取り扱っています。本論でも、それにしたがって以下を記述します。
「試し出勤」を検討する上でまず必要なのは、目的を明確にすることです。復職支援手引きでは、「リハビリ」という表現(リワーク支援手引きでは、「リハビリ」という表現)が用いられていないです。「リハビリ」には医療的な関わりを想起させる面があり、この制度の狙いが症状あるいは障害(非常に低下した業務遂行能力)の改善にあるかのような印象を与えてしまうことが懸念されたためであると考えられます。まさにこうした「リハビリ」を職場という場を借りて実施するという考え方もありえます。それを主旨とするならば、「試し出勤」は比較的早期、すなわち症状の一部がまだ残存している段階、あるいは生活リズムが安定化をみていない段階で開始されるべきことになります。しかし、その場合には、手続きや進め方に関して、主治医とのより連密な調整が必要となり、職場においても一定の専門的な知識を有した医療職が中心となる関わりが求められます。「リハビリ」で行われる機能の詳細な回復過程の評価を誰が行うのか、医療費の類をどう扱うかといった問題や、トラブルが発生した際の責任の所在も明確にしておく必要があります。「リハビリ」の場となる職場の責任者は、そうしたことの説明を受ければ強い責任を感じざるをえないです。常勤の産業保健スタッフがいない中小規模事業場では、実施が困難であるといわざるを得ないです。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。