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リワーク支援について(その9)
皆様、おはようございます。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク支援について」の9回目です。前回に続き、リワーク支援(職場復帰支援)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】職場復帰(リワーク)の判定に関しては、主治医の意見を素通しさせるのではなく、十分に尊重しながらも、職場関係者の間で、慎重な審議を行うことが求められます。職場復帰の可否判断(リワークの可否判断)には、症状がどの程度改善、消失しているかだけではなく、どの程度の職務遂行が見込めるかの評価が必要です。主治医は、通常診察室の中で、本人および家族からの情報だけから、意見を述べざるを得ないです。こうした状況下で、業務遂行可能性に関してまで細かい評価を求めるのは、職場に関する詳細な情報を提供しない限り、過度の要求といえます。
主治医には、症状の改善、消失、本人の労働への意欲、および生活リズムの改善の面から職場復帰の可能性(リワークの可能性)についての判断を求め、職場ではその意見を受けるとともに、本人および職場からの情報を集約して、業務遂行能力の回復の推定、職場再適応の見通しに関する判断を行うのです。
この過程で従来問題視されてきた点としては、以下の事柄が挙げられます。
●主治医から十分な情報が得られない。
●職場復帰の時期(リワークの時期)に関する判断が、主治医・本人と職場との間で食い違う。
●職場復帰に際して(リワークに際して)の就業上の配慮に関する主治医の意見・本人の要望と職場の実態が合わない。
これらに該当するすべての事例に対する解決策を提示することはできないが、背景にありがちな事情をあげ、それをもとに事態の改善を試みるとすれば、以下のような考え方ができるでしょう。
①主治医から十分な情報が得られない。
産業医など職場関係者から病状や職場復帰に関する(リワークに関する)助言等の情報提供を主治医に依頼しても、回答を拒否されたり、紋切り型の返事しか返ってこなかったりする例です。主治医の個人情報の保護に関する意識、あるいは当該労働者が職場内で不利益を蒙ることへの懸念に起因していることが多いです。提供した情報がどのように管理されるか(職場内の誰がどこまでを知ることになるのか)が知らされない場合、主治医がそのような対応をするのは当然といえます。情報提供を依頼する際には、同時に職場内の産業保健スタッフの充足度、主治医から伝えられた情報の管理方法とその責任者等を明記した文面を添付するとよいです。
◇《主治医への情報提供依頼書に記す事業場の健康管理に関する情報例》
●情報提供の宛先氏名とその立場(職種) 例)産業医
●事業場内産業保健スタッフの陣容
●主治医から提供された情報の管理方法および管理責任者
●主治医から提供された情報が共有される範囲(職種)
●主治医から提供された情報がどのように活用されるかの概要
●事業場の個人情報保護に関する仕組み、規定の要点
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。