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心療内科と心身医学(その3)
皆様、おはようございます。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科と心身医学」の3回目です。前回に続き、心療内科について詳しく触れたいと思います。
【続き→】こころと身体を切り離さずに考えることで、QOLを重視した総合的な医療を目指しているのが心身医学です。医学とはもともと身体的疾患を治すためのものでしたが、科学の発展と研究により、心理的要因も身体に悪影響を及ぼすことがわかってきました。
特にストレスに満ちた現代社会では、心身医学が果たす役割は大きく、医療のほか、保険、福祉など、多方面で必要とされています。
心身医学(psychosomatic)という言葉は、1818年、ドイツ人精神科医ハインロートの睡眠障害についての論文で初めて登場しました。20世紀になるとフロイトらの研究や啓蒙活動により、現在の心身医学の基礎が築かれます。時代が進むにつれ、精神分析や行動心理学、脳科学が進化し、心身相関のメカニズムが次々と解明されることで、心身医学は大きな発展を遂げてきました。
ところで、こころの問題を扱う診療科として、どんなところがあるのでしょうか?昨今は、総合病院や医院・クリニックに様々な診療科名が標榜されていて、受診される方にとっては非常にわかりにくい現状があります。「心療内科」「精神科」「神経科」「精神神経科」「メンタルヘルス科」「メンタルクリニック」「こころのクリニック」等々枚挙に暇がありません。では、心療内科医と精神科医の違いは何でしょうか?心療内科医は、元々身体的疾患の診断と治療を専門としながら、こころの問題に十分配慮しながら診療を進めている医師であり、精神科医は、元々精神障害の診断と治療を専門としながら、身体的な問題に配慮しながら診療を進めていくことができる医師です。両者ともベースは異なっていても、心身相関の問題を扱う点では共通しており、この領域に十分精通しています。例えば、一口に内科医と言っても、それぞれ得意とする専門分野があるように、心身医学に関わる疾患の診断や治療も、その内容に応じて、それを得意とする精神科医、心療内科医のどちらでも対応が可能であると考えています。一例を挙げると、慢性疼痛に長年苦しんでおられる方がペインクリニックから精神科に紹介されて、「痛みを精神的な問題として片付けられた」とショックを受けている場合がありますが、精神科医であっても、心身相関の観点に立った治療を得意としている医師は少なくありません。ですから、あまり表面的な標榜診療科名にとらわれず、自分が苦しんでいる問題の解決に向けて最も適切な医師を紹介してもらう(あるいは探す)ことが大事ではないでしょうか。
言うまでもありませんが、患者様が主治医を信頼できる関係になければ、医療として治療の最大効果は生まれません。まさに、心身相関の醍醐味はここにあると言っても過言ではありません。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。