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心療内科と心身医学(その2)
皆様、おはようございます。心療内科 精神科、千里中央駅直結「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「心療内科と心身医学」の2回目です。前回に続き、心療内科について詳しく触れたいと思います。
【続き→】あらゆる身体疾患の発症には、生物学的な要因と環境的な要因の双方が関係します。広義の意味での環境的要因には、例えば、有害物質などの物理的な要因の他に、対人関係の悩みなどの心理社会的な要因も含まれます。環境因が全く関与しない身体疾患は、おそらく存在しないのではないでしょうか。
様々な身体疾患において、ストレッサー(ストレス要因)が強いほど、発病率が増加し、治療反応も悪くなりやすいことが知られています。強いストレス要因に長期間さらされると、うつ病などのメンタルヘルス不調を生じることがありますが、たいていの場合、その前段階として身体的不調が現れます。その代表が頭痛、めまい、動悸、息苦しさ、震え、全身のしびれや痛み、便秘・下痢などのいわゆる自律神経症状と呼ばれる症状です。ストレス要因に対して、まずは身体が反応して、自律神経の過緊張状態が引き起こされ、そのまま放置されればメンタルヘルス不調に移行するかもしれないという警告、すなわち「黄信号」が出ている状況にあると言えます。このように、精神状態と自律神経系機能、言い換えれば、こころとからだは密接に連動しており(心身相関)、切っても切り離せない関係にあります。
一方、医療技術が進歩すればするほど、広範な医学領域は専門分化され、高度な診断機器を用いた迅速で正確な診断と高度な専門的治療が、医療現場に求められる最重要課題となります。このような現代の医療状況であるからこそ、なおのこと、身体疾患をこころとからだの両面からアプローチする必要性が高まっていると言えます。心身医学は、まさに、このアプローチを実践するために確立された医学領域であり、現代の専門分化した高度な医療の間隙を埋める重要な役割を担っていると考えられます。
日本では心身医学の研究・発展を図ることを目的に1959年に「日本精神身体医学会」が設立されました。その後9つの大学で心身医学の講座や診療科が開設され、心身医学は学問の分野として確立されていきました。そして1996年、心身医学を実践する診療科である「心療内科」が認可されると、多くの病院に設置されるようになりました。
心身医学は医師だけでなく、臨床心理士、社会福祉士、看護師を含むチーム医療でも実践されています。
以上、心療内科、千里中央駅「杉浦こころのクリニック」(千里ニュータウン・千里セルシー3階)の杉浦でした。