2016年06月25日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の37回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●休業復職支援プログラム(リワークプログラム)
T社では、就業規則上、「引き続き1週間以上、メンタルヘルス不調で会社を休む場合には、医師(精神科医・心療内科医)の診断書に欠勤届けを添えて提出」します。
休業した労働者本人にとっては、休業というのは人生においての初めての大きな出来事であることが多いことから、安心して療養に専念できるよう、休業の手続き・療養中の過ごし方・休業制度・給付金(傷病手当金)制度・職場復帰(リワーク)の方法・相談先などが記載された「療養のしおり」を配布し、休業中も必要に応じて復職支援(リワーク支援)することとしています。
メンタルヘルス疾患による病欠期間が2週間を超えた場合(年休処理を含む)、職場復帰面談(リワーク面談)が必要となります。手続きを明確にする目的で、復職希望日(リワーク希望日)の2週間前までに1回目の復職面談(1回目のリワーク面談)を行い、メンタルヘルス確認および復職支援プラン(リワークプラン)の試案を作成し、1週間前~当日までに2回目の復職面談(2回目のリワーク面談)を行うことを原則としています。産業医等が主治医と連携を取るツールとして、現状では「職場復帰に関する(リワークに関する)情報提供のご依頼」を利用しているが、主治医の復職許可(リワーク許可)診断書と情報提供書の2通を要する煩雑さから、これらを一体化させた「職場復帰診断書(リワーク診断書)」に改定し、利用予定です。職場復帰の可否(リワークの可否)および職場復帰支援プランに関する(リワークプランに関する)話し合いの結果については、「職場復帰チェックシート(リワークチェックシート)」等を利用して記録にまとめ、リワーク関係者がその内容を互いに確認しながらその後の職場復帰支援を進める(リワーク支援を進める)予定です。
T社では、リハビリ出勤制度は導入していないです。復職に求められる(リワークに求められる)メンタルヘルス状態が回復していない段階で半日程度出勤させるリハビリ勤務だと、メンタルヘルス疾患の再発のリスクが高まるだけでなく、安全を担保できず、周囲への影響も大きいです。さらに、勤務取扱いの判断やリハビリ出勤中の労働災害の取扱い等実務上の問題も多く残っていることから、検討課題としては上がるものの導入を見送ってきています。よって、職場復帰判断基準(リワーク判断基準)としては、フルタイム勤務が可能なメンタルヘルス水準を要し、全般的に7~8割程度のメンタルヘルス不調の回復を目安としています。しかし、復職日(リワーク日)からフルタイム勤務を求めるものではなく、1日最大2時間までの時間短縮勤務制度を活用しています。時間短縮勤務は、職場復帰が許可できる(リワークが許可できる)ものに対して、復職当初(リワーク当初)の3~6か月程度を期間の目途として30分単位で適用可能です。メンタルヘルス不調の回復状況は個々により異なるため、適用期間の定めは設けずにメンタルヘルス状態に応じて対応可能となっています。当然、勤務時間の問題だけでなく、内容的にも業務負荷軽減措置・職場調整など、職場復帰支援を利用(リワーク支援を利用)し、行っています。
また、産業保健スタッフが使用する職場復帰支援ツール(リワーク支援ツール)として、生活リズムの評価としての「日常生活リズムチェック表」、復職判断(リワーク判断)としての「職場復帰チェックシート」も必要に応じて(「リワークチェックシート」も必要に応じて)利用可能です。
職場復帰支援を円滑に進める(リワーク支援を円滑に進める)ためには、メンタルヘルス一次予防から三次予防まで含めた産業保健活動の一環として位置づけることが必要であり、そのためには事業主の理解と職場間の協力体制が必要です。また、事業場内だけでなく、労働者本人をとりまく家族も含めた包括的な復職支援(包括的なリワーク支援)が必要です。
構築された産業保健システム等は、産業保健プロジェクトによるマネジメント等を利用し、定期的な見直しを図っています。
以上、試案中の資料も含まれるが、これまでの経験を踏まえた職場復帰支援ツールとして広く利用可能(リワーク支援ツールとして広く利用可能)であり、多くに検討される価値があると考えます。
T社は、労働者のメンタルヘルス状態に適した労働を提供することだけでなく、労働者自身が生き生きと業務ができ、企業がさらなる発展を続けられるよう産業保健活動を行うことを理想としていることを明記しておきたいです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。