2016年06月11日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の36回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】職場リハビリ(試み出勤)を実施する場合の注意事項です。
『(1)実施にあたっての本人・家族への説明
職場リハビリテーション(試み出勤)は療養中に行うため、下記の点についてあらかじめ本人・家族に説明し、了解のもとに行う必要があります。
①職場復帰(リワーク)のための職場リハビリテーション(試み出勤)は主治医の了解のもとに、本人の意思に基づき実施するものであること。
②職場リハビリテーション(試み出勤)は、休暇・休職中に行うものであることから正式な勤務ではないので通勤手当、公務災害などの対象にならないこと。
③メンタルヘルスに不調など変化があった際は、主治医の指示により対処すること及び職場においては常に所属長の監督下にあること。』
ここでも、職場リハビリは、「療養中」に、「主治医の了解」の基に、「本人の意思」により行うものであり、「通勤手当」は支払われず、「公務災害」の対象にならないこと。そして、職場では「所属長の監督下」にあることが明確にされています。
職場リハビリの期間についてです。例として、1ヵ月の復職支援プログラム(リワークプログラム)が示されていますが、ケースによってはこれより長くなる例もあるでしょう。また、実際に復職支援プログラムを実施(リワークプログラムを実施)していく中で、見直しが必要になる場合があることが想定されています。
『<職場リハビリテーション(試み出勤)の一例>
(1ヵ月後復職を目指す(リワークを目指す)場合)
■第1段階
[実施内容・目標] 職場への顔出し(通勤に慣れる)
[時間帯] 8:30~10:00
[期間] 第1週目(1~2日間)
■第2段階
[実施内容・目標] 職場環境・人間関係に慣れる(PCを操作する、回覧文書に目を通す等)
[時間帯] 8:30~12:00
[期間] 第1週目(3~4日間)
■第3段階
[実施内容・目標] 仕事に慣れる(自分の職務及び担当内の職務を理解し、遂行できる)
[時間帯] 8:30~15:00
[期間] 第2週目(3~5日間)
■第4段階
[実施内容・目標] 通常の勤務生活に慣れる(フルタイム2週間)
[時間帯] 8:30~17:15
[期間] 第3週目、第4週目
○留意点
ア 実施内容・目標、時間帯、時間の延長の仕方、期間の設定については個々人の状況で異なります。
イ 期間を通じて、メンタルヘルス疾患が安定していることが大切です。
ウ 第4段階を経てから、復職面接(リワーク面接)(メンタルヘルス相談)を実施します。
エ 職員健康審査会で実施結果及び復職面接時(リワーク面接時)の医師(精神科医・心療内科医)の意見を参考にします。
オ 「復職可(リワーク可)」の措置決定がされた後でも、復職日(リワーク日)までは職場リハビリテーション(試み出勤)を継続し、生活リズムを崩さないようにします。』
会社で、このような「試し出勤(職場リハビリ)」を実施するためには、就業規則を初めとする諸規定の整備が欠かせません。また、療養中に実施するのですから、主治医の了解を得るとともに、本人に十分説明して同意を得ておかないと、メンタルヘルス疾患が再発・悪化した場合に、会社の安全配慮義務が問われかねません。また、賃金などの処遇についても、事前の了解を得ておかないと思わぬトラブルを招くこともあり得ます。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。