2016年06月08日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の33回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖復職(リワーク)前(休職中)に行う「試し出勤」制度は、有給で行う場合もある〗
職場復帰支援(リワーク支援)のために行う「試し出勤」制度は、復職前(リワーク前)(休職中)に、無給で行うことが原則であるということを、以前このブログでご紹介しました。
「試し出勤」制度を休職中に行うに当たって、最も注意しなければならないのは、会社が業務に関して指示をしてはならないということです。使用者の指揮命令下にあれば、それは労働時間であり、賃金を支払わなければなりません。
労働したのであれば、「メンタルヘルス疾病によって就労できない」という条件を満たすことができなくなるので、傷病手当金が受給できなくなります。では、例えば午前中だけ短時間勤務して、午後は休む場合はどうでしょうか。この場合、短時間勤務に見合う賃金を受け取ったのであれば、傷病手当金は受給できません。つまり、賃金と傷病手当金は両立しないのです。
復職可否(リワーク可否)の判断は難しいものです。主治医と産業医の意見が異なることも往々にして生じます。産業保健スタッフと人事労務スタッフの意見が対立することもあります。産業保健スタッフは、できるだけ職務の負担を軽くすることによって、職場復帰支援をしたい(リワーク支援をしたい)と考えますが、人事労務スタッフは、復職後(リワーク後)における職場の上司や同僚の負担を軽くしたいことと、再休職という事になると、人の手当てを含めた人事上の問題がまた降りかかってくるので、職場復帰の判断(リワークの判断)は厳しい見方になります。
そこで、会社としては、労働者が実際の業務を行うことができるかどうかを見てから決めたいと考えるのも無理からぬところです。実際の業務を行わない「試し出勤」だけでは、心もとない。実際に業務(仕事)をやらせてみれば分かるじゃないか、となります。この場合は、実際の業務(仕事)を行わせるのですから、賃金を支払わなければなりません。つまり、復職前(休職中)(リワーク前(休職中))に、「試し出勤」を「有給」で行うことはできるのかということです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。