2016年04月25日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の25回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖「試し出勤」制度は、復職(リワーク)前(休職中)に、無給で行うのが原則〗
メンタルヘルス不調による休業した労働者が復職する(リワークする)ときに、「試し出勤」「試み出勤」「リハビリ出勤」などと称する制度を一定期間採用することが広く行われるようになってきました。これらの制度は法的な定義はなく、各企業が自社の復職支援プログラム(リワークプログラム)を整備する中で制度を作ったものです。ですから、名称は同じ復職支援プログラム(同じリワークプログラム)でも実施する企業によってその中身が異なることに注意が必要です。
厚生労働省の「こころの健康問題により休業した労働者の職場復帰支援(リワーク支援)の手引き」(以下:復職ガイドライン(リワークガイドライン))では、このように記述されています。
『社内制度として、正式な職場復帰の決定(リワークの決定)の前に、以下の①から③までの例に示すような試し出勤制度等を設けている場合、より早い段階で職場復帰の試み(リワークの試み)を開始することができ、早期の復職(早期のリワーク)に結びつけることが期待できる。また、長期に休業している労働者にとっては、就業に関する不安の緩和に寄与するとともに、労働者自身が実際の職場において自分自身及び職場の状況を確認しながら復職の準備(リワークの準備)を行うことができるため、より高い職場復帰率(リワーク率)をもたらすことが期待される。』
『(3)試し出勤制度等
①模擬出勤:職場復帰前に、通常の勤務時間と同様な時間帯(リワーク前に、通常の勤務時間と同様な時間帯)において、短時間又は通常の勤務時間で、復職支援プログラム等(リワークプログラム等)で模擬的な軽作業やグループミーティング等を行ったり、図書館などで時間を過ごす。
②通勤訓練:職場復帰前に、労働者の自宅から職場の近く(リワーク前に、労働者の自宅から職場の近く)まで通常の出勤経路で移動を行い、そのまま又は職場付近で一定時間を過ごした後に帰宅する。
③試し出勤:職場復帰前(リワーク前)に、職場復帰の判断(リワークの判断)等を目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤する。』
ここでは、「正式な職場復帰の決定(リワークの決定)の前」と記されていることから分かるように、あくまで「職場復帰の試み(リワークの試み)」とされています。つまり、休職中に行うことが前提になっています。
①と②については、試し出勤等といっても、会社には出社しません。③のケースでは、実際に元の職場に出勤して、そこで一定時間を過ごすことになります。そこで、以下の点に注意しなければならないとされています。
『ただし、この制度の導入に当たっては、この間の処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等について、あらかじめ労使間で十分に検討しておくとともに、一定のルールを定めておく必要がある。なお、作業について使用者が指示を与えたり、作業内容が業務(職務)に当たる場合などには、労働基準法等が適用される場合があることや賃金等について合理的な処遇を行うべきことに留意する必要がある。』
しかし、これでは、何を「十分に検討」しなければならないのか、「賃金等についての合理的な処遇」とはどのようなものなのかが分かりません。少し解説が必要のようです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。