2016年04月15日
千里中央(大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワーク(復職)支援」の21回目です。引き続き、リワークについて詳しく触れたいと思います。
【続き→】〖メンタルヘルス不調などの傷病休職から復職(リワーク)させるための基準〗
休職についての公的な定義はありません。一般的には「労務に従事させることが不能または不適当な事由が生じた場合に、使用者がその従業員に対し労働契約関係そのものは維持させながら労務への従事を免除することまたは禁止すること(労働法)」とされています。傷病休職の場合には、解雇の猶予措置としての性格を併せ持ちます。
傷病休職の場合、傷病から回復し就労可能になれば休職は終了し、復職(休職は終了し、リワーク)となります。回復せず期間満了となれば、自然(自動)退職または解雇となります。
ここで問題になるのは、傷病から回復(治癒)したかどうか、就労可能かどうかの判断基準です。
治癒とは「従前の職務を通常の程度行える健康状態に回復したとき」と解すべきで、「ほぼ平癒したが従前の職務を遂行する程度には回復していない場合には、復職は権利(リワークは権利)として認められない」というのが原則です。
しかし、「当初は軽易業務に就かせれば、ほどなく通常業務に復職(通常業務にリワーク)できるという回復ぶりである場合は、使用者がそのような配慮を義務付けられる」とされた例もあります。また、従前の業務に復職できる状態(リワークできる状態)ではなく、より軽易な職務への復職の申出(リワークの申出)について、「労働契約で職務を限定していない場合には、会社は現実に配置可能な業務の有無を検討する義務がある」とされた例もあります。
このようにケースによって判断が異なり、使用者としては、どこまで治癒していれば復職させなければ(リワークさせなければ)ならないのか、治癒の判断が主治医と産業医で異なった場合にどの様に判断するのか、などの問題点を抱えています。
では、実際に復職(実際にリワーク)させるにあたって、企業はどのような基準によって判断しているのでしょうか?企業へのアンケート調査の結果をご紹介します。
病気休職から復職する条件(リワークする条件)について、
①休職前の原職へ復職できる(原職へリワークできる)状態になったとき・・・54.6%
②原職復職の見込み(リワークの見込み)があり、かつ、他の仕事での就業ができる状態になったとき・・・19.7%
③原職への復職(原職へのリワーク)はできないが他の仕事での就業ができる状態になったとき・・・12.1%
④すぐには仕事はできないが、医学的に治癒したとされたとき・・・5.8%
などとなっています。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。