2016年01月29日
心療内科 精神科、大阪府 豊中市・千里中央駅・千里ニュータウン「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の24回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】◎情報の収集と評価
職場復帰の可否(リワークの可否)については、労働者および関係者から必要な情報を適切に収集し、さまざまな視点から評価を行いながら総合的に判断することが大切です。情報の収集については、労働者のプライバシーに十分配慮することが重要なポイントとなります。
定期的に労働者が管理監督者や産業保健スタッフ等と連絡を取りあっている場合には、職場復帰の意思(リワークの意思)や体調などさまざまな情報が得られるが、急に復職(リワーク)の申し出があった場合には、労働者の職場復帰の意思および就業意欲(リワークの意思および就業意欲)の確認から情報収集することが必要です。なかには、復職の意欲(リワークの意欲)がないにもかかわらず、経済的な理由や休職期間の満了を見据えてやむをえず復職を申し出る(リワークを申し出る)労働者もいます。復職支援(リワーク支援)を行うにあたっては、「職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)」についての説明を十分に行ったうえで、十分な時間をかけて面談することが望ましいです。
■産業医等による主治医からの意見収集
診断書は傷病事由の休業に必要なエビデンスであることから、プライバシー情報に該当するような詳細な内容は記載されないことが多いです。しかし、すべてのケースが同じ状況にあるわけではなく、再発予防のためにはケースごとに病態や状況を把握し、主治医の意見を参考にしたうえで、より適切なリワーク支援を提供することが重要です。そのうえで必要な主治医との連携にあたっては、産業医等は労働者本人のインフォームドコンセントを得たうえで、主治医からの情報や意見を積極的に収集します。その際、労働者本人の職場復帰支援をする立場(リワーク支援をする立場)を中心としながら必要な情報交換が行われるよう努めなければならないです。
必要な情報とは、職場復帰支援に関して(リワーク支援に関して)職場で配慮すべき内容が中心であり、また、そのための理解を得るための必要最小限の病態や機能に関する情報です。治療状況および病状の回復状況の確認であり、具体的には、今後の通院治療の必要性、治療状況についての概要の確認、眠気など業務遂行に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無、休業中の生活状況、その他、職場復帰に関して(リワークに関して)考慮すべき問題点などです。必ずしも具体的な疾患名が必要とされるわけではないです。特に産業医等は専門的な立場からより詳細な情報を収集できる立場にあるが、主治医とスムーズなコミュニケーションが図れるよう精神医学、心身医学に関する基礎的な知識を習得していることが必要となります。この際には、「職場復帰支援に関する情報提供依頼書(リワーク支援に関する情報提供依頼書)」等を用いるなどして、労働者のプライバシーに十分配慮しながら情報交換を行うことが重要です。主治医に対して事業場内産業保健スタッフ等や管理監督者それぞれの立場や役割、傷病による休業や職場復帰に関する会社の規則(リワークに関する会社の規則)、プライバシーに関する事項等について十分な説明を行い、理解を得ることも必要です。治療に職場の理解や職場復帰支援がない(リワーク支援がない)場合、産業保健スタッフ等から説明することも必要です。
以上、心療内科、豊中市・千里中央駅直結・千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。