非定型うつ病について(その43) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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非定型うつ病について(その43)

2015年02月06日 

皆様、こんにちは。心療内科 精神科千里中央駅千里ニュータウン医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
【続き→】■NaSSA(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬)
NaSSAは、従来の抗うつ薬とは区別され、その特徴的な作用メカニズムから「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬」と呼ばれています。一般名は「ミルタザピン」(商品名:レメロン、リフレックス)の名で知られ、1994年にオランダで発売されて以来、現在世界の90カ国以上で使用されており、日本では2009年9月から使用が認可されました。この薬の作用機序は、これまで日本にはなかったもので、中枢神経のシナプス前α2‐自己受容体とヘテロ受容体に対して阻害作用を示し、中枢神経のノルアドレナリンおよびセロトニン(5‐HT)の神経伝達物質を増強します。また、セロトニン5‐HT受容体のうち、5‐HT2受容体と5‐HT3受容体を阻害する作用があるため、抗うつ作用に関連する5‐HT1受容体のみを選択的に活性化することができます。ノルアドレナリンが増加することによって意欲を高め、セロトニンが増加することで不安感をやわらげ、気分を楽にする作用があります。
ミルタザピンは、うつ病うつ状態の治療に用いられ、憂うつ気分をやわらげて意欲を高める薬です。気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気が出ない、集中できない、眠れないなどのうつ状態の症状を改善し、気分を前向きにするのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病患者を対象としたミルタザピンの日本での臨床試験があります。プラセボ(偽薬)を飲む患者様と、実薬(ミルタザピン)を飲む患者様に分け、その効果を比較したところ、実薬を飲んだ患者様の方が症状の改善効果が高いことがわかりました。服用1週目から有意に高い改善効果が示され、さらに長期服用試験では、1年間にわたって抗うつ効果が維持されることが確認されています。こうしたプラセボ対照比較試験で、抗うつ薬の有効性が認められたのは日本で初めてで、その結果、従来薬と比べて効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されています。
 以上、心療内科千里中央駅直結千里セルシー3階「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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