非定型うつ病について(その25) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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非定型うつ病について(その25)

2015年01月05日 

皆様、こんにちは。心療内科千里中央駅直結・千里セルシー3階)「杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
【続き→】●神経伝達物質の働き
うつ病と脳内のメカニズムの関係は、切っても切れない関係にあります。そもそも、うつ病は脳の調子が崩れたときに起こる病気だからです。脳とうつ病の研究も進み、脳の中でどのようなことが起こっているのか、少しずつ明らかになってきました。その一つは、脳内にある神経伝達物質です。この神経伝達物質は、脳の神経細胞と神経細胞の間を行き来して、情報を伝えるメッセンジャーのような働きをしています。脳内には、約140億のニューロンと言われる神経細胞があり、それぞれ独立して存在していて、その神経細胞の先端にある突起(シナプス)から神経伝達物質が放出され、別の神経細胞の受容体(レセプター)が受け取る仕組みになっていて、そこで双方の情報が交換されているのです。
神経伝達物質は、これまで約50種類の存在が確認されており、主なものにセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどがあり、この中でうつ病と関係している神経伝達物質としては、セロトニンとノルアドレナリンではないかと考えられています。セロトニンは、体温の調節や感覚知覚、睡眠の開始などに関与している物質で、不安を抑え、平常心を保つように働きます。この作用が低下すると、イライラや不安、睡眠障害、衝動的な自傷行為を起こしやすくなります。一方、ノルアドレナリンは興奮性の物質で、覚醒、集中、記憶、積極性などとかかわり、不安や恐怖とも関係しています。危険を感じると、ノルアドレナリンが働き、血液を筋肉に送り込んで、心拍を速めたり、血圧を高めたりします。うつ病のときは、このセロトニンとノルアドレナリンの働きが低下することがわかっています。このような変化は、定型うつ病においてわかっていることです。
では、非定型うつ病においては、どのような変化があるかというと、セロトニンの場合では、定型うつ病のような低下は見られません。パニック障害と併発する非定型うつ病では、むしろセロトニンの働きが高まるという報告もされています。また、パニック発作のない非定型うつ病では、アセチルコリン受容体が過敏になっていて、レム睡眠といわれる浅い眠りとかかわっています。また、非定型うつ病の症状である眠気やだるさを改善する薬は、ドーパミンに作用するものが多いことから、ドーパミンの異常が推定されるのです。

 

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