復職支援(リワーク)(その53) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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復職支援(リワーク)(その53)

2018年05月29日 

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「復職支援リワーク)」の53回目です。引き続き、復職支援(リワーク)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】●薬物療法を継続することの有効性
うつ病などメンタルヘルス疾患の患者様を診察していると、「いつまで抗うつ薬を飲まなければいけないのですか?」という質問をよく受けます。また職場復帰した直後リワークした直後)から受診の頻度が不定期になって、こちらの心配に対して「復職したので少し自分で頑張って減らしてリワークしたので少し自分で頑張って減らして)みました。薬はまだ余ってたから大丈夫でした」などとおっしゃる方もいらっしゃいます。長期間、薬を服用し続けると、重大な副作用があるのではないか、薬を飲んでいると職場では一人前として扱ってもらえないのではないかという社会的不安があったりするため、抗うつ薬を長期的に服用することに抵抗がある人も少なくありません。そこで、抗うつ薬の長期的な服用によるメンタルヘルス疾患の再発予防効果について、最新の知見を踏まえて説明したいと思います。
メンタルヘルス疾患の寛解後も一定期間、抗うつ薬を服用し続けることはメンタルヘルス疾患の再発予防のために重要であると考えられています。実際に日本うつ病学会うつ病治療ガイドラインでは、メンタルヘルス疾患の寛解後、初発例では4~9ヵ月、メンタルヘルス疾患の再発例では2年以上は抗うつ薬を減量しないで継続的に服用することが勧められています。ただし、この点については「副作用の問題がなければ」という但し書きが含まれています。副作用の問題は第一世代である三環系抗うつ薬で多くみられ、口の渇きや便秘、起立性低血圧、体重増加、性的能力低下などといった症状が認められます。一方で第三世代のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や第四世代のSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などは三環系抗うつ薬に比べ副作用が起こりにくいとされ、メンタルヘルス専門医精神科医・心療内科医)の多くはこれらの抗うつ薬のメンタルヘルス疾患の再発予防効果を期待して、メンタルヘルス疾患の寛解後も長期間、服用を勧める場合が多く見られます。ただし、SSRIも副作用がないわけではありません。薬を飲み始める初期には吐き気や嘔吐などの消化器症状が出現しやすく、長期服用によって性的能力低下が出現することもあります。そのような症状が起こる場合には主治医(精神科医師・心療内科医師)と十分に相談する必要があるでしょう。
ちなみに、特に長期的な抗うつ薬の服用による副作用があまり問題とならない場合には、初めてうつ病などメンタルヘルス不調を再発した場合でも職場復帰後リワーク後)、1~2年間は薬物療法を継続することをお勧めしていますし、メンタルヘルス不調の再発を繰り返している場合はさらに長期間、薬の服用をするように勧めています(ただし、メンタルヘルス不調の再発予防のための抗うつ薬の服用量はメンタルヘルス不調の治療目的の場合と比べ、2分の1~4分の1程度の低容量です)。もちろん、長期間、服用するということに対して抵抗感を抱かれる患者様も多くいますが、そのような方に対しては長期間にわたって服用が必要な身体の病気と比較して説明しています。例えば「高血圧の方が降圧剤を、糖尿病の方が糖尿病治療薬を毎日服用されて自らの身体を良い状態に保っているのと同様に、うつ病などメンタルヘルス不調の方が毎晩抗うつ薬を服用して、自らのメンタルヘルスを保てるのであれば、つらいうつ病などのメンタルヘルス症状をぶり返さない分、あなたの利益になるのではないでしょうか」とお話ししています。必要な期間服薬を継続するためには、患者様の主体的なメンタルヘルス疾患治療への参加が不可欠です。患者様が納得してメンタルヘルス疾患治療を受けられるように、私たちメンタルヘルス専門医心療内科医・精神科医)側にもしっかりと説明する責任があると考えているのです。
そして、メンタルヘルス疾患の再発予防のための薬物療法にはもう一つ、重要な注意点があります。それは主治医(心療内科医師・精神科医師)に相談することなく、勝手に薬をやめてはいけないということです。SSRIやSNRIは前にもご説明したとおり、セロトニンという脳内ホルモンに作用する薬ですが、これらの薬を突然中止してしまいますと、急激に薬の血液中の濃度が下がり、反動としてめまい・ふらつき・吐き気・嘔吐・頭痛不眠疲労感などのセロトニン離脱症状と呼ばれる症状が出てしまいますので、薬をやめる際には勝手にやめてしまうのではなく、主治医に「薬を減らしたいのですが」とはっきり申し出て、主治医の先生の指示のもとで少しずつ薬を減らしていくことが重要なのです。
以上、千里中央駅直結千里ライフサイエンスセンタービル16階・豊中市心療内科杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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