リワークプログラム(その40) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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リワークプログラム(その40)

2016年07月04日 

千里中央大阪府 豊中市・千里ニュータウン)、心療内科 精神科「医療法人秀明会 杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
今回は「リワークプログラム」の40回目です。引き続き、リワークプログラム(職場復帰支援プログラム)について詳しく触れたいと思います。
【続き→】■なぜ、リワークプログラムが必要とされるようになったのか
リワーク」が生まれてきた理由を考えてみましょう。厚労省の患者様調査によると、うつ病躁うつ病などのメンタルヘルス疾患で治療中の患者様数が2008年(平成20年)に100万人を超えました。しかし重要なことは、1996年(平成8年)と比べて2008年(平成20年)には2倍以上に増えていたという点であり、10年間にメンタルヘルス疾患が2倍と増える中で、メンタルヘルス不調の表現型が変わったのではないでしょうか。
現代のメンタルヘルス疾患の特徴は、①他罰性、②強い不安、③過剰な元気さに集約できると考えています。
「他罰性」は、現代型うつ病であるディスチミア親和型うつ病未熟型うつ病というような病型の特徴ともされ、周囲の人への配慮がなく、つらい症状の源を自分以外に求める結果が他罰的言動となります。背景には自己に向き合えない、自己愛的で未熟な人格があり、現代型パーソナリティ障害との指摘もあります。家庭や学校における育ち方、育てられ方、少子化、逆境への経験不足などがあり、リワークプログラム復職支援プログラム)におけるメンバー間での仲間体験が重要であるとも指摘されています。
強い不安」は、現代のメランコリー親和型とも言える職場結合性うつ病の中核的初期症状が不安症状であり、漠然とした不安感であるが、身体的な緊張感を伴います。不安が強くなると自律神経症状(発汗、動悸息苦しさ、下痢、腹痛、吐き気や嘔吐、発熱など)が出現します。特に対人関係で不安が強く出ると、会議や発表、上司の前で極度に緊張します。かかりつけ医や内科医に受診しても、検査上でも所見がなくストレス性と診断され、精神科医・心療内科医に紹介されてきます。しかし、このような身体症状で始まっても、いずれは“抑うつ状態”を呈するようになります。
「過剰な元気さ」は、抑えられないテンションの高さであり、一生続けば発揚気質の人と理解されます。しかし、このテンションが続かなければメンタルヘルス不調の波を形成することとなり、気分が揚がってもやがて下がることになります。揚がると言ってもせいぜい110%程度のメンタルヘルスレベルであるが、下がるときは50%以下となり“抑うつ状態”だけが目立つことになるので、反復性うつ病と診断されることが多いです。しかし、本人は110%を100%と信じ、そこを目標とするので、テンションの高い時期が時々あるものの、すぐに低い時期が来て、復職と休職リワークと休職)を繰り返します。これは軽微双極性障害あるいは双極Ⅱ型障害という立派なメンタルヘルス不調であり、スペクトラムという連続性の中で捉えるという考え方もあります。抗うつ薬ではなく気分安定薬が必要であるが、効果はなかなか得られないです。
以上、千里中央駅直結・千里セルシー3階・豊中市、心療内科「杉浦こころのクリニック」の杉浦でした。

 

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