非定型うつ病について(その26) | 豊中市 千里中央駅直結の心療内科「杉浦こころのクリニック」

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非定型うつ病について(その26)

2015年01月06日 

皆様、こんにちは。心療内科千里中央駅直結・千里セルシー3階)「杉浦こころのクリニック」の杉浦です。
【続き→】●子供の頃の育ち方(養育歴)
本来ならば、親の愛情を受け、見守られながら育つはずの幼少期に、親からの虐待を受け、離別体験をすることで、強いストレスが脳の発達に影響し、精神障害の発症に深くかかわっているものと思われます。幼少期の脳は3歳までにその90%が発達すると言われます。したがって、この時期の母親との関係は非常に大切で、母親から抱きしめられて育つことで、自我が育まれ、信頼感が生まれてきます。特に、母親の子へのスキンシップは、抗ストレスホルモンの遺伝子を活性化させることが、動物実験で明らかになっています。
一方、子供時代に親から虐待やネグレクト(育児放棄、または怠慢)などを受けると、PTSDパーソナリティ障害、アダルトチルドレンなどの精神障害を引き起こすことが、これまでの研究で明らかにされています。うつ病の人の養育歴を追跡調査した報告によると、子供時代に、①母親の子育て態度の異常、②両親の別居または離婚、③11歳以前に両親のいずれかと別離、④転居、⑤教師から問題児と評価、⑥内気な子供、などを経験しています。非定型うつ病に限ってみると、①性的虐待、②身体的虐待、③ネグレクト、といった経験を子供の頃にした人に多く発症しています。
本来、守ってくれるはずの親から虐待を受けると、こころに傷を負い、こころの平穏が失われ、また虐待がいつ行われるか不安と緊張の連続です。子供の時代のこうした経験は、脳の発達に強く影響し、それがうつ病の発症の要因にもなっているものと考えられます。激しいストレスが、脳の一部の発達を阻害し、脳自体の機能や神経構造に、永続的にダメージを与える可能性があるとされています。危機的な状況に遭遇すると、脳の大脳辺縁系(海馬や扁桃体)が恐怖感を抱いて反応し、危機が度重なると、過剰な反応が繰り返され大脳辺縁系は常に過敏状態になって、ほんの些細なことでも、激しい恐怖感を抱いたり、攻撃的になったりするといわれています。

 

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